東京商工リサーチ(TSR、東京都千代田区)は9月9日、8月の「人手不足」関連倒産が16件(前年同月16件)だったと発表した。8月は前年同月と同件数だったものの、1-8月累計は194件(前年同期比92.0%増)と前年同期の1.9倍に急増し人手不足が深刻化。年間過去最多だった2023年(158件)をすでに超えており、2024年は初の200件超えが確実となった。
要因別では、「求人難」が81件(前年同期比92.8%増)、「人件費高騰」が65件(同91.1%増)、「従業員退職」が48件(同92.0%増)と、すべての要因で年間最多を更新。大手・中小企業間の賃上げ格差が広がるなか、人材確保は中小企業において事業継続に直結しつつある。
産業別では、10産業のうち7産業で前年同期を上回った。建設業は54件(同184.2%増)で、サービス業他(57件、同90.0%増)に次いで多い。運輸業(43件、同65.3%増)など、コロナ禍前から人手不足だった労働集約型産業が目立つ。
資本金別では、1000万円未満が119件(同105.1%増)で6割(構成比61.3%)を占めた。人手不足によって受注機会を喪失し、資金繰りに行き詰まるケースも出ている。
原材料価格の上昇や物価高に加え、今後は金融機関からの借入金利の上昇も見込まれている。種々のコストアップに迫られるなか、人材採用や従業員の退職回避のための賃上げが避けられない状況で、「人手不足」の影響が拡大。しばらく関連倒産は増勢をたどる可能性が高いとみられる。
同調査は、2024年1-8月の全国企業倒産(負債1000万円以上)のうち、「人手不足」関連倒産(求人難・従業員退職・人件費高騰)を抽出・分析した。(後継者難は対象外)
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