住宅業界を覆う人手不足の波を、工務店や設計事務所が、設計や施工などそれぞれの力を“融通”し合うことで乗り越えているのが山梨県木造住宅協会(山梨県南アルプス市)だ。会員に設計事務所や小規模な工務店が多かったため、自然と相互協力の機運が醸成された。また協会の活動を通じて会員のベクトルがそろいつつあることも、連携に好影響を及ぼしているという。【編集部 荒井隆大】
会員同士の“職能の融通”は、設計事務所が工務店・大工に施工を発注する、工務店が設計や確認申請で設計事務所に協力を求める、といったものから、工務店同士、大工の手が足りない他社の現場に応援に行く、などさまざまな形がある。時には“自社大工の手が空いている。入れる現場はないか”という声が上がることも。代表理事の中村伊伯さん(匠家社長)は「協会がひとつの工務店のような状態になっている」と話す。
やり取りや契約は当事者間で行い、協会は直接関与せず、紹介や契約の仕組みなどを構築しているわけでもない。事務局長の山中正樹さんは「仕組み化すればニーズもあるかもしれない」とは想定しつつ「ある程度の柔軟性は必要」として、会員の良識に任せていく考えだ。
同協会専務理事の深沢成彦さん(深澤工務所社長)は・・・
この記事は新建ハウジング9月20日号1面(2024年9月20日発行)に掲載しています。
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