住宅業界の市況が厳しくなる中、地域工務店に設備を提供するメーカーの役割に注目が集まる。多種多様な設備の魅力は、工務店の価値にもなる。本連載では、建材・設備メーカーのトップに、新建ハウジング発行人・三浦祐成が「今こそ聞きたい未来の話」を深掘りする。第4回は、床下冷暖房「ECO床暖システム」を開発するオンレイ社長の藤田薫さんと副社長の宮坂洋一さん。低コストで導入しやすいシステムを開発しながら、より使いやすくなる技術・熱意を製品に込めてきた。工務店にとって“全館空調”は、差別化になり得るのか。トップの真意に迫った。
三浦 全館空調を導入したい工務店が増えていると感じているが、“全館空調”というジャンルをどう捉えているか。
藤田 全館空調の大きな転換点はZ空調(桧家住宅)だろう。Z空調の普及により、全館空調がエンドユーザーにも認知されるようになり、市場にも多数のシステムが出回るようになった。
当社の床下冷暖房「ECO床暖システム」は、施工が楽で低コストなのが特徴だ。“いかに安く安全に提供できるか”を考えて、床下を活用したシステムとなった。創業時の思いは、今も脈々と受け継がれていて、導入しやすいシステムとして提供することは変わらない。
宮坂 ECO床暖はダクトが肝のシステムだが、「ダクトレスにしてほしい」とのご要望をいただくこともある。しかし、例えば5m離れた場所に風を送るだけでも温度は変わる。断熱ダクトを使うことで、温度ムラのない空気を安定して送ることができる。床下エアコンによるダクトレスは確かにコストも安く、メンテナンス性にも優れているのだが、13年間の経験から得た結論は、温度差をなくすためにダクトを用いることが好ましいということだ。
低コストで使いやすく 工務店の差別化要素に
三浦 ダクトありでも低コストに抑えることができる点が良い。ダクトの設計は工務店(販売施工店)に任せているのか。
宮坂 確実な性能を担保するためにも、ダクトの設計は当社で行い、最も効率のいい設計を販売施工店に提案するが、例えば・・・
この記事は新建ハウジング9月10日号16面(2024年9月10日発行)に掲載しています。
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