東京大学大学院の前真之准教授が8月22日、審査員を務めた「性能向上リノベデザインアワード2023」(主催:YKK AP)で自身が選考委員賞に選んだ、施主によるセルフリノベーションで性能向上を実現した住宅「あるがままを活かした近未来の快適な住まい」(長野県駒ケ根市)を訪れ、温熱環境の測定などを行った。
この住宅は、元サブコンのエンジニアで空調設計などを手がけていた牧野郁生さんが、1979年に建てられた住宅(延べ床面積127.52㎡)を取得し、「できるだけあるがままに、ホームセンターやネットで入手できる資材と基本的な技術により、なるべくコストをかけずに」というコンセプトのもと、DIYで耐震・断熱改修や空調設備の整備を行ったものだ。
耐震性能は、無筋の基礎にカーボンファイバーを張り付け(この作業のみ業者に外注)、16本の制振ダンパーを設置して上部構造評点1.72(耐震等級3相当)に。断熱性能は改修前のUA値3.65W/㎡KからHEAT20・G2とG3の間の0.27まで引き上げた。壁は剥がしてスタイロフォーム90㎜厚を充填、天井にはグラスウール350㎜厚を敷設。基礎断熱は、使い終わった肥料袋にもみ殻を詰めて整形し、立ち上がり(高さ600㎜)の内側に隙間なく並べ立て、コンクリートを打っていない土壌がむき出しの底面の折り返し部分(幅1000㎜)にも並べた。開口部は、外窓を交換(ペアガラス)して内窓(同)を追加したほか、残した障子の両面にポリカーボネートを張り、断熱性能を強化している。
また・・・
この記事は新建ハウジング9月10日号2面(2024年9月10日発行)に掲載しています。
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