厚生労働省が9月5日発表した7月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、現金給与総額(名目賃金)に物価の変動を反映させた実質賃金は前年同月比0.4%増だった。賃上げ効果が浸透しつつあり、2カ月連続のプラスとなった。夏のボーナス支給で押し上げられた前月(1.1%増)に比べ、伸び率は縮小した。
基本給と残業代などを合わせた名目賃金は、労働者1人当たり平均で3.6%増と、31カ月連続のプラス。このうち基本給が中心の「所定内給与」は2.7%増で、1992年11月以来、31年8カ月ぶりの伸び率だった。今春闘での歴史的な賃上げが寄与した。ボーナスなど「特別に支払われた給与」は6.2%増と、前月の7.8%増からは縮小した。
実質賃金の算出に用いる消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)の上昇率は、3.2%。就業形態別の名目賃金は、正社員ら一般労働者が3.6%増の52万9266円、パートタイム労働者が3.9%増の11万4729円。1人平均の総実労働時間は0.6%増えた。
8月はボーナスによる押し上げ効果が小さくなることなどから、厚労省は「実質賃金のプラスを維持するのは難しい可能性がある」とみている。一方、9月からは政府による電気・ガス代補助金再開の効果で物価が押し下げられ、実質賃金が上振れる可能性がある。
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