一条工務店(東京都江東区)は、9月1日の防災の日を前に、「災害と住まいについての意識調査2024」を実施。全国の男女1228人から回答を得た。調査期間は7月6日から7月15日まで。
それによると、「災害でライフラインが停止した場合でも、できる限り在宅避難を優先したいと思いますか?」という質問に、「とてもそう思う」と回答した人は5割以上(51.5%)となり、「そう思う」 (38.8%)と回答した人と合わせると、9割以上の人が在宅避難を優先したいと思っていることが分かった。
「在宅避難」とは、災害時に自宅に倒壊や焼損、浸水、流出の危険性がない場合、そのまま自宅で生活を送る方法のこと。避難所生活のようなストレスが少ないというメリットがある一方で、食料や水など生活必需品の備蓄が必要不可欠となってくるが、「ライフラインが停止した場合に備え、家族全員分の飲食料や生活必需品を何日分備蓄していますか?」との問いには、在宅避難を優先したい人でも、「1日分~2日分」(32.0%)と答えた人が最も多く、「備蓄をしていない」という人も約2割にのぼった。 さらに、全体の96.7%の家庭が、備蓄品の準備が1週間分未満であることが判明した。
築5年以下でも4割が耐震性に不安
「現在の自宅は、 大きな地震が起きても安心できる耐震性を備えていると思いますか?」と尋ねたところ、築31年以上の家に住んでいる人の8割以上が「そう思わない」(45.0%)または「あまりそう思わない」(36.8%)と回答しており、耐震性に不安を感じていることが分かった。また、築5年以下であっても、「そう思わない」(13.2%)もしくは「あまりそう思わない」(32.0%)と考えている人が4割以上にのぼった。
「現在の自宅は、大きな地震が起きた場合、耐震性に不安がある」と回答した772人に、「耐震性に不安を感じる理由」を尋ねたところ、「どれだけ耐震性があるのか把握できていない」という回答が突出して多く、7割以上にのぼった。次に「旧耐震基準で建てられている」と回答した人が23.3%で、「地盤が弱い」と回答した人が11.7%だった。
この調査結果について、国際災害レスキューナースで一般社団法人育母塾の代表理事である辻直美さんは、「大きな地震があると、防災意識は一瞬高まるが、継続することは難しく、防災用品を買うだけで満足する傾向が強い。実際にライフラインを切って、食事を摂る練習をしたり、一日に3リットルの水だけで生活をしたりするなど、スキルの備蓄まで行動につなげてもらいたい」とコメント。
「災害が起きることに不安を感じているのに、それを具体的に確認したり、不安を払拭するための準備もなんとなくしかできていないのは問題」と指摘し、日頃から防災意識を高め、ハザードマップを確認したり、防災アプリで情報収集をすることを呼びかけている。
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