台風10号、九州北部ほぼ横断　関東以西の各地で大雨―土砂災害や浸水に厳重警戒

台風10号は30日未明から朝にかけ、九州北部をほぼ横断した。暴風域はなくなったが、動きが遅く、九州や中国地方西部、四国だけでなく、関東や東海、近畿でも断続的に大雨となった。気象庁は引き続き、土砂災害や低地の浸水、河川の増水に厳重に警戒するよう呼び掛けた。

台風は勢力が弱まらなければ、9月1日にかけて四国付近を東へ進み、2日未明までに近畿付近で熱帯低気圧に変わる見込み。関東から近畿付近の大雨は、太平洋高気圧の縁を時計回りに回る暖かく湿った空気が流れ込んでいるのも要因とみられる。

発達した雨雲が連なる線状降水帯は、29日に宮崎、鹿児島、大分、香川、徳島、兵庫各県で発生。今後は東海で30日午前まで、長崎県以外の九州北部と山口県で同日の日中まで、四国では31日午前まで発生する可能性がある。近畿では30日夜から31日午前まで発生する恐れがある。

東京都八王子市では30日午前0時20分までの6時間雨量が203ミリとなった。北九州市小倉南区では午前7時半までの24時間雨量が474ミリに上り、いずれも観測史上最多記録を更新した。埼玉県川越市と神奈川県二宮町では、5段階の警戒レベルで最も高い緊急安全確保が発令された。

10号は30日午前7時、大分県由布市付近をゆっくりと北東へ進んだ。中心気圧は994ヘクトパスカル、最大風速23メートル、最大瞬間風速35メートル。半径390キロ以内が風速15メートル以上の強風域。

31日午前時6までの24時間予想雨量は多い所で、四国400ミリ、東海300ミリ、近畿200ミリ、中国と九州北部180ミリ、関東甲信150ミリ、九州南部120ミリ。その後、9月1日午前6時までの同雨量は、東海400ミリ、近畿300ミリ、関東甲信と四国200ミリ、北陸と中国150ミリ。