連載8回目となる今回は、エクセレントチームで行った新規事業立ち上げの実例をご紹介します。2024年、新しい挑戦をされる工務店の方は特に、ぜひ参考にしてみてください!
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パンフレット製作、リノベ事業立ち上げを伴走することに
タイトルの通り「新規事業を立ち上げる際にもエクセレントチームは非常に有効である」ということが、今回のテーマです。
2023年、新潟家守舎はノモトホームズ(野本建設/新潟市中央区)の新規事業をご支援させていただきました。
【ノモトホームズの過去記事はこちら】
泉氏監修の新モデルや事務所の新拠点 設計力武器に提案強化
パートナー型経営で独自性の確立や生産性向上を実現
ノモトホームズの営業・設計を担当されている竹村さんは私の大学の先輩であり、プライベートでも交流があります。
ノモトホームズは自然素材と設計力を強みにしている地域工務店ですが、下記のような課題を抱えていました。
① 自然素材だけでなく、エコハウス性能をレベルアップさせ、しっかりと打ち出したい
② ①の広報活動、およびその進行を社内で実施できるか不安を抱えている
そこで、2つの課題を解決できる新潟家守舎とタッグを組むことになったのです。
これまでノモトホームズは、モデルハウスでお客様に性能を実感していただいてきました。しかしもう一歩、他の形でのアプローチが必要だと考えていたところでした。そこで、エコハウスの性能を伝えられる、専用のパンフレット製作・ホームページの改修を合わせて実施することになったのです。
パンフレットは、資料請求の際に送付するのはもちろん、モデルハウスで広げて、スタッフが対面でノモトホームズの暖かい家づくりを伝えるためのツールとして活用できるものに仕上げる必要がありました。
客観的な視点で、スピーディーかつコストを抑えて形に
1、エコハウスの性能を伝えられる専用のパンフレット
実施内容
・コンセプトメイク(小林紘大)
・タグライン開発(小林紘大)
・パンフレットデザイン・印刷(フリーランスデザイナー協働)
固めたコンセプトを落とし込んで、完成した冊子がこちらです。
ノモトホームズが提供できるエコハウスの性能や、素材についてなどの情報を記載してあるため、お客様へのご提案の際に断面図をお見せしながら活用できます。
くわえて、資料請求時に送付したり、モデルハウスに設置して、ノモトホームズの強みを伝える役目を果たしています。
あえて打ち合わせにデザイナーは同席せず、私の方から決まった内容を伝える形で進行しました。そのためデザイナーはアイデア出しや打ち合わせ参加の時間を割愛でき、私としても稼働費用を抑えることができました。
ノモトホームズの強みである高い「設計の基礎力」。そこを視覚的にアピールするため、イラストでなく、断面図を掲載しました。
さらに、たんに素材の説明や良さを打ち出すのではなく「なぜその素材を選んでいるか」という選定理由を載せることで、ノモトホームズのこだわりがより深く伝えられるようにしました。
私自身、これまでノモトホームズとは深く関わらせていただいてきたので、工務店としての魅力を熟知しています。そういった人材がディレクションすることで、ダイレクトに魅力を落とし込めますし、ブランディングのテイストも理解しているのでトンマナを揃えるような細かな指示を出しやすかったと感じています。
2、「ノモトのリノベ」の事業計画
続いて、新規でリノベーション事業を立ち上げるために動き始めました。
実施内容
・マーケティングの観点から与件整理(小林紘大)
・企画・立案タグライン開発(小林紘大)
・新規事業のネーミング提案(小林紘大)
・ホームページ改修(フリーランス協働)
・社内ルール整理(小林紘大)
ノモトホームズが希望していたホームページの改修は、以下のメンバーで進行しました。
【ホームページ改修エクセレントチームメンバー】
・プロジェクトマネージャー 小林紘大
・WEBワイヤーフレーム担当 高山潤一さん(WEBディレクター)
改修は制作会社に全工程を依頼する流れが一般的ですが、どうしても工数が多く時間がかかります。まとまった費用も必要ですし、そもそも予算感のミスマッチが発生し実現できないケースもあります。
たいして、エクセレントチームの場合は適切なキャスティングができるため、短期間でコスパ良く進行できます。
☆掲載内容のポイント
ホームページは、お客様が知りたい情報を整理して届けることが大切です。特に、興味を持っていただいているのが「どんな流れで、どこまで無料?」という点。ここを記載せずに強みだけを打ち出したり、事例をゴリ押ししてしまうとかえって不安感を与えてしまうため、家づくりの流れとどこから費用が発生するのかを明記しました。
☆改修と合わせて社内ルール整理・提案
新規事業の時はそもそも「どこから費用が発生するのか」社内ルールが未整備なので、合わせて提案します。今回の場合は、無料の範囲を「ヒアリング→リサーチ→プレゼンテーション」と、3つのステップで設定しました。あえてカタカナで表現することで、無料で対応できる範囲を最大限に見せています。
また、インスペクション(調査)というフレーズを入れていないため、間接的に現地調査は無料の範囲に含まれないことを示しています。
私たちはノモトホームズの魅力だけでなく、少人数で常に人手が足りていないなどの実情も理解していました。その上、あたり前ですが新規事業で施工事例がなく、 写真素材や掲載できる実績がありません。それらをふまえて、一番最適な形で伝えられるページにしなくてはなりませんでした。 これが形にできたのは、ノモトホームズへの知見がありつつも、客観的な視点を持ったチームで意見を出し合ったからだと考えています。
エクセレントチームはどんな業務にも活かせる
パンフレット製作も新規事業立ち上げも、会社として根幹に関わる業務なのだから自社で行うべきではないか? そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、今回の業務を通して、エクセレントチームのメリットである下記のポイントをフル活用できたと感じています。
①客観的な意見を取り入れられる
②自社社員を育てるよりも短期間で形にできる
③制作会社に依頼するよりも低コスト
エクセレントチーム体制は、イベントや+αの業務でしか活かせないわけではありません。むしろ勝負をかける新規事業にこそ、メリットの多いエクセレントチームが有効なのです。特に①は、工務店のレベルアップに必要不可欠だと考えています。
今回ご依頼くださったノモトホームズの竹村さんに「ぶっちゃけどうして私に依頼してくれたんですか?」と訊いてみました(笑)。すると、下記の回答が。
①住宅建築や温熱(エコハウス分野)に詳しい
②工務店広報を理解している
③オールラウンダーで、ほぼ全ての分野に回答してくれる
社内で課題を提起しても、検討に時間がかかるうち、通常業務で多忙に。そうしているうちに、課題を先送りしてしまう……。そんな時、客観的視点で背中を押してくれるメンターとして、新潟家守舎を認識してくれているそうです。だから今回も、新潟家守舎とタッグを組んでくれたとのこと。光栄です!
社員同士だと変に気を遣って口を出しにくい空気感があっても、外部の人材が入ることで風通しが良くなり、案外すんなり進められることもあります。
社内で抱え込まずに外部の力を借りて、スピード感を持ってアップデートし、変化の時代に負けないチームを作っていきましょう。
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