クラス(愛媛県松山市)は、社長の矢野陽子さんを筆頭に、営業や設計、インテリアコーディネーターも女性が活躍している“女性(中心の)工務店”だ。意図して女性だけを雇用してきたわけではないが、矢野さん自身が住宅業界で働いてきた経験・苦労の悩みを働き方に反映してきた結果、女性が“働きたい”職場になったのだという。【編集部 佐野元基】
矢野さんは、システムキッチンなどを製造する住宅設備メーカーに新卒で入社。顧客対応を担当した。もともと接客業志望で、「専門知識を深めてスキルアップでき、かつ年を重ねていくごとに重宝されていく分野でもある」ことから、メーカーへの就職を選んだという。また、在籍中にインテリアコーディネーターの資格を取得したところ、当時ショールームをよく利用していた、地元の建築会社の社長にスキルを買われて転職した。
インテリアコーディネーターとして活躍していたが、一方で大工とのギャップを感じていた。「『見た目ばかり言われても困る』と言われたこともある」。現場とのギャップを埋め、建築の知識をより深めるために、二級建築士の資格も取得した。
その後、設計として一度は転職したものの、地元の建築会社に復職。14年間、営業として勤務した。プライベートでは子育てもしつつ、仕事では営業・インテリアコーディネーター・設計とマルチに活躍した。
女性目線の働きやすさを追求
2016年、矢野さんは同僚の女性(設計)とともに独立。設備メーカー時代の知人も合流し、女性3人による工務店・クラスが誕生した。
「建築業界は朝も早いし夜も遅いときもある。それでも建築が好きだから業界にいるけれど、子育てしながら女性が働いていくのは大変だった」という経験から、矢野さんは「建築業界で同じ境遇の人が働きやすい会社を、自ら経営したい」思いに駆られた。そのため、女性目線の働きやすさを追求した職場を目指した。
同社は時短勤務・パートタイムからフレックス出社、産休・育休、副業まであらゆる働き方を認めている。「とにかく・・・
この記事は新建ハウジング8月30日号16面(2024年8月30日発行)に掲載しています。
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