日本で旅修行をするドイツの大工職人のことは、この連載でも何度か取り上げたが、今回は、日本での体験を詳しくブログに綴っているヤニス・グリース(Jannis Grieb)を紹介したい。彼のドイツ語のブログを読むと、日本人にとっては当たり前のことが、実はとても価値があるということに気づかされる。
私は、2019年から中欧ドイツ語圏の旅大工を受け入れているNPO法人・地球の会の窓口サポートをしている。ヤニスは22歳の若い大工で、今年4月末から6月末まで8週間、埼玉県行田市の大野建設で働きながら、日本の木造建築を学んだ。
彼が日本に行く前に、「ここ(ドイツの大工交流サイト)にブログを書くから」と連絡があった。6回にわたる彼のレポートは、臨場感があり、具体的で、異国の現場での驚きや感銘が、素直にダイレクトに表現されている。
小さな倉庫、小さな車 ドイツと真逆の謎
彼が大野建設に来てまず不思議に思ったのは、倉庫が小さく、それに対して事務所のスペースが異様に大きい、ということだった。ドイツの工務店には通常、大きな倉庫があり、その隣に小さな事務所があるので、日本はその真逆である。また、初日に現場に向かうとき、社用車である小さな軽自動車に乗せられたときも「これで現場に行くの? 嘘でしょ?」と彼は驚いた。ドイツだと、大きなワゴン車かトラックに乗っていく。
これらの謎も、現場で仕事を始めると「あ、そういうことか」と彼のなかですぐに解消した。大野建設では、多くの日本の工務店がそうであるように・・・
この記事は新建ハウジング8月30日号10面(2024年8月30日発行)に掲載しています。
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