帝国データバンク(東京都港区)はこのほど、「女性登用に対する企業の意識調査(2024年)」の調査結果を発表した。それによると、女性管理職(課長相当職以上)の割合は、平均10.9%(前年比1.1ポイント増)と調査開始後初の10%台となり、上昇幅も2021年と並ぶ過去最大となった。
政府が目標として掲げている「女性管理職30%」を上回っている企業も、11.4%(同1.6ポイント増)と過去最大の上昇幅で、初めて10%を超えた。「20%以上 30%未満」は6.4%、「10%以上 20%未満」は9.1%、「10%未満」は25.5%だった。「0%(全員男性)」(同2.1ポイント減、43.0%)を合わせると、「10%未満」は68.5%と初めて7割を下回った。
女性管理職の割合を規模別にみると、「大企業」が7.6%なのに対し、「中小企業」が11.5%、うち「小規模企業」が14.4%と、規模が小さい企業ほど女性管理職割合が高い。
業界別では、女性従業員が比較的多い「小売」が19.4%と最も高く、次いで「不動産」(16.7%)、「サービス」(15.3%)、「農・林・水産」(12.7%)と続いた。一方、「製造」(7.9%)、「運輸・倉庫」(7.4%)、「建設」(7.2%)では平均を下回る低水準にとどまった。
女性役員(社長含む)の割合は、前年比0.4ポイント増の平均13.5%と過去最高となった。一方、「役員が全員男性」の企業は52.4%と依然半数を超えている。規模別では、「大企業」が6.7%、「中小企業」が14.8%、うち「小規模企業」が19.1%と、規模が小さいほど割合が高くなっている。
大企業と中小で大きな差
女性の活躍推進のために行っていることを聞いたところ、男女平等に関わる項目である「性別に関わらず成果で評価」(61.2%)、「性別に関わらず配置・配属」(50.6%)が上位に並んだ。次いで「女性の育児・介護休業の取り組み促進」(32.8%)といった、女性が働きやすい環境づくりに関する対応策が続いた。男女問わず、家庭と仕事の両立を支援する「就業時間の柔軟化」(27.5%)、「時短勤務の対応」(27.1%)には、4社に1社が取り組んでいた。規模別では、大企業が「女性の育児・介護休業の取り組み促進」「男性の育児・介護休業の推進」において、中小企業を20ポイント超上回り、大きな格差がみられた。
女性管理職の割合が上昇しない要因や課題で、最も多いのは「女性従業員の家庭と仕事の両立がしにくい」(54.4%)で、唯一50%を超えた。次いで、「日本社会の性別役割分担意識の存在」(38.5%)、「女性従業員が昇進を望まない」(36.2%)が続いた。規模別では、中小企業が大企業を上回ったのは「性別に関わらず成果で評価している」のみ。「女性従業員が昇進を望まない」は、大企業が11.3ポイント高く、企業規模間で大きな差がみられた。
政府は「女性版骨太の方針2024」で、東証プライム市場に上場する企業の女性役員の割合について、それまでの「2030年までに30%以上」に加え、「2025年までに19%」にする新しい成果目標を設定。生産年齢人口の減少で、さらなる人手不足の深刻化が懸念されるなか、企業における女性活躍の推進がますます求められている。
同社は、企業の女性活躍の支援への取り組みとともに、政府の昇進・役割に対する積極的な働きかけによって女性自身の意識改革を進めることが求められていると指摘。育児の分担など、女性が安心して社会進出できる環境づくりも欠かせないとしている。
同調査は2013年以降毎年7月に実施しており、今回で12回目。調査対象は全国2万7191社で、有効回答企業数は1万1282社(回答率41.5%)。
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