帝国データバンク(東京都港区)はこのほど、7月の「人手不足に対する企業の動向調査」の結果を発表した。有効回答企業数は1万1282社。7月時点で正社員が不足している企業は51.0%だった。前年同月比で0.4ポイント低下したが、5割超えが続き高止まりとなっている。非正社員は、同1.7ポイント減の28.8%と、7月としては2年ぶりに3割を下回った。
正社員の人手不足割合を業種別にみると、上位10業種のうち1業種が7割台、7業種が6割台だった。トップは、DX需要が好調な「情報サービス」(71.9%)で、ITエンジニア不足が浮き彫りとなった。「2024年問題」に直面している「建設」は、69.5%と7割台に迫る高水準。企業からは「大規模工場や大型再開発事業の影響で、地場の建設業者は大変な状況」(北海道)、「万博工事の影響で人手不足や資材の高騰に悩まされている業者が大多数」(大阪府)など、各地の事情を反映した声が寄せられた。
インバウンド需要が好調な「旅館・ホテル」(65.3%)や、「運輸・倉庫」(63.4%)も人手不足が深刻化している。
非正社員の人手不足割合は、「飲食店」が67.5%とトップだが、前年同月比16.0ポイント減と大幅に低下。省力化・合理化投資の効果によって、人手不足感が改善傾向にあるとみられる。
正社員・非正社員の人手不足割合が高水準で推移するなか、人手不足倒産が急増傾向にある。2024年上半期(1-6月)は182件と過去最多を大幅に上回るペースで推移しており、「2024年問題」に直面する建設業(53件)・物流業(27件)では、人手不足が一因で業績が維持できず倒産に追い込まれるケースが続出した。就業者の高齢化も深刻で、高齢によって現場の就労が難しくなりやすい建設・物流業などでは、若い就業者の確保が急務となっている。
同社は、人手不足が企業経営にとって最重要課題の一つとなるなか、人材の確保・定着に向け、「選ばれる会社」としての差別化、人事戦略の重要性がより増していると指摘している。
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