高価なガラス建材、洋造住宅と引き換えに、
住宅文化「家と庭の一体感」は忘却の彼方へ
縁側は、いかにも「伝統的日本住宅」の基本的要素といえる空間。「庭」という外部と同じ息づかいで暮らす生き方を象徴する「温暖地住宅装置」だ。写真は東京新宿区にある「長谷川町子記念館」の様子(この場所だけは撮影が許諾されていた)。
いかにも「サザエさん家(ち)」という舞台装置。まさに庶民の常識的な住空間を想起させる「縁側」は、日本人ネイティブな住空間だ。北海道に移民してきた多くの人びとも、寒冷積雪という条件はわかっているにしても、暮らし方の部分ではこの常識の中にいたに違いない。
サザエさんの時代背景は戦後早々期から以降で、北海道開拓時期からはるか後世ではあるけれど、温暖地ではこういう「住宅常識」が不変に継続していた。
しかし、北海道の暮らしではまったく通用しなかった。北海道人は「脱サザエさん一家」的な暮らし方を編み出すしかなかった。
140年前、縁側は北海道で「窓・開口部」に変容
※この記事は会員限定記事です。ログイン後、続きが読めます。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。