国土交通省は2025年度から、老朽化したマンションの解体費用を支援する方針を固めた。マンション管理組合に対し、費用の一部を国と市町村が半額ずつ補助する仕組みを創設。市町村が管理組合に専門家を派遣し、解体するかどうかについてアドバイスする場合にも、同省が市町村に必要経費を補助する方向で検討している。25年度予算概算要求に関係経費を新規計上する考えだ。
築40年以上のマンションは22年末時点で全国に126万戸あり、42年末には3.5倍の445万戸に達する見通し。解体が必要なマンションも増え続けるとみられることから、補助事業に乗り出す。
専門家派遣は解体判断の前段階の支援となる。マンション管理士やコンサルタントなどが組合とともに積立金の状況を調べたり、空き部屋の持ち主を探したりすることを通じて議論をサポートし、解体や修繕といった合意形成に導く。
同省はこれまで改修によるマンションの長寿命化を推進し、修繕費用などを補助するモデル事業を実施してきたが、経年劣化により改修しても住み続けることが難しいマンションが増加。放置されれば外壁が剥がれ落ちたり不法侵入者が来たりするといったリスクが増し、周辺の環境や治安に悪影響を与えかねない。
古いマンションには年齢層の高い居住者が多く、死亡によって所有者不明の空き部屋となる懸念もある。全戸の所有者が分からなくなると、市町村が公費で解体することになる。例えば滋賀県野洲市は20年、9戸の無人マンションを1.2億円かけて解体した。
同省は「人が住んで管理組合が機能しているうちに市町村が関わることが重要だ」としており、解体費の支援により早期の対応を促す。
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