南海トラフ地震や避難生活への不安から、ミホ工業(神奈川県大和)が提供する「避難不要」の耐震シェルターに問い合わせが急増している。これを受け、同社は北海道から沖縄まで全国での施工受付を本格的に開始した。
大型地震が起きると、被災者にとって必要となるのが避難所だが、食料品の不足や栄養の偏り、トイレやお風呂に困るといった衛生面での問題、寒すぎる、暑すぎるなど適温が保たれない問題やプライバシーに関するトラブルなど、避難所生活における問題点も広く知られている。
そんな中、同社が提供する「避難不要」の耐震シェルターに問い合わせが急増している。昨年は2件だったのが、今年に入り、能登半島地震や直近の宮崎県沖地震などの影響で1月から8月までに95件の問い合わせがあったという。
同社の耐震シェルターは、壁の内部を施工するリフォーム型であり、部屋がまるごと耐震シェルターになるのが特徴。津波などの場合以外は、被災した時でも、部屋に滞在したまま生活を送ることができる。内側に鉄骨を組み入れ、34トンの圧力にも耐えられるよう設計されている。工期は10日程度。補助金申請のサポートも行っている。
利用者からは、「高齢の母がいるので、避難生活は考えられない。倒壊の心配がない部屋があれば、ひとまず安心」「テレビ報道されているように、受験生がいたり障害者の方がいたりすると本当に大変。非常時でもストレスなく暮らしたいので、今回の施工に至った」といった声が上がっており、好評だという。
「高額な建物全部の耐震補強よりも、安価な一部屋の補強で安心を得るのは良い方法」と同社代表の宮崎保さんは話す。問い合わせの急増に対応し、現在、北海道から沖縄まで、全国の提携工務店での施工をさらに強化している。価格は6畳タイプで180万円から。
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