東京都はこのほど、「世界で一番の都市・東京」を目指すための新たな戦略となる「『未来の東京』の実現に向けた重点政策方針2024」(デジタルブック)を策定し公表した。昨今の社会情勢の変化などを受け、2021年以降に掲げた戦略の内容を見直したもの。持続可能な都市の実現に向けて、政策の3本柱となる「ダイバーシティ」「スマートシティ」「セーフシティ」を強化する。
「ダイバーシティ」では、人口減少への対応として人への投資を強化。2050年には3人に1人が高齢者となり、労働力不足が一層深刻化することが予想されることから、▽子育てしやすい環境づくり▽子ども・若者の成長支援▽世界で活躍できる人材の育成▽高齢者が活躍できる働き方の推進―などに注力する。
住宅関連では、子育て世帯の多くが、家賃などの住宅にかかる費用などに負担を感じている点に着目。経済的負担を軽減させることを目標に掲げた。他に、高齢者が快適に過ごせる住まいや、安心して暮らし続けられる良好な生活環境を確保するとした。
建築リノベ、既存ストック活用など推進
「スマートシティ」では、日本がIMD「世界競争力ランキング」(2024年)で過去最低の38位にまで後退したことを受け、企業の成長に向けた変革を後押しする。中でも中小企業への支援、ものづくりなどの技術力やノウハウの継承、新たな価値を創造する事業承継を推進することが急務だとした。
住宅関連では、少子高齢化や柔軟な働き方などの社会変化を踏まえ、新たなまちづくり、建築物のリノベーションや都有地など既存ストックを活用した拠点づくりなどを推進する。他に、グリーンインフラの導入などまちづくりに合わせた緑の創出、剪定(せんてい)による緑の適切な維持管理についても推し進める。
「セーフシティ」では、激甚化する風水害、首都直下地震、火山噴火、ミサイル飛来などの危機に備え、都民の命と暮らしを守ることを目標とした。都内では共同住宅に住む人の割合が6割を超えていることから、マンションの特性に応じた防災対策に注力する。
また、2050年までのCO2排出量実質ゼロを目指し、再生可能エネルギーやCO2吸収技術など、脱炭素関連技術の開発・導入、水素エネルギーの社会実装を加速化。その一方で、家庭用・事業用の太陽光発電設備の廃棄が将来的に増加することが見込まれることから、リユースやリサイクルに向けた取り組みについても並行して進める。
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