4階建てのRC造マンションの大規模改修の現場でのことだ。初めて付き合う塗装会社に外壁の塗り替えを発注したところ、施工から1年後に、外壁下地の補修に使用したシーリングの跡がくっきりと浮かび上がってしまった。「これはどういうことだ!」とオーナーからクレームに…。【住宅ライター:渡辺圭彦】
オーナーから連絡を受けた現場監督のCさんが目にしたのは、建物の外壁に黒く浮き上がったシーリングの跡。施工後しばらくはきれいに仕上がったように見えていたが、徐々に痕跡が目につくようになってきたという。
Cさんは慌てて、施工した塗装会社も呼び出して、対応を協議することに。業者は「これはブリード現象ですね」と断言した。
ブリード現象とは、シーリング材に含まれる可塑剤が塗料に反応し、表面に染み出てしまうことを指す。この可塑剤に大気中のほこりなどが付着することで、シーリングの跡が黒ずんでしまう。
この現象を防ぐため、塗装面の補修には、可塑剤が入っていない塗装下地専用のシーリング材を用いるのが一般的だ。
シーリング材の種類や選定の知識が不十分だった
ところが、Cさんは下地となるモルタル外壁のクラックを補修する際、リフォームなどでよく使っていた変性シリコン系のシーリング材を用いてしまった。「当社では、通常、金属サイディングの目地などに使うもの。比較的安価で硬化のスピードが速いので、便利に使っていましたね」とCさん。
これまでは先代から付き合いのある塗装会社に、下地補修も含めて発注していたので、Cさん本人は、シーリング材の種類や選択について知識が不十分だったと認めている。「よく知らないのに、これでいいだろうと中途半端なことをしてしまった。下地の補修は、塗装の前段階となるわけですから、塗装業者に相談しておくべきでした」と反省する。
その後・・・
この記事は新建ハウジング8月20日号10面(2024年8月20日発行)に掲載しています。
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