現在、アイニコグループ(旧楓工務店)の企画管理部に所属する宮崎雅大さんは、大学院で物理学を専攻し、博士課程の修了後に同社に入社した。縁遠い世界だったが、住宅業界に可能性を見いだし、工務店の世界に飛び込んだ。現在は、自社のノウハウを落とし込んだシステム開発(新規事業)に携わり、工務店の役に立つアイデアを形にしている。
「博士2年時に、研究者として教授を目指すか、それともメーカーに就職して研究職に就くか迷った。自身をゼロから見直すために、いったん就活を選択した」、宮崎さんはそう話す。高校は文科省が指定するスーパーサイエンススクール(科学技術、理科・数学教育に関する研究開発などを行う高等学校)に通い、大学は応用自然科学科へ進学。さらに大学院にも進み、工学博士を取得した経歴の持ち主だ。
2021年10月ごろから就活を開始。当初は業界を定めずに探していたが、だんだんと仕事と生活が密接に関わる「衣食住」に関係した業界を目指すように。「正直、研究者の成果が世の中の役に立っているかはわかりづらい。だったら“自分の力で世の中を良くした”と思えるくらい、身近な環境で仕事をしたい思いがあった」そうだ。特に「衣食住のうち、アパレル・食品関係よりも徐々に住宅業界に惹かれるようになったため、住宅系から就活サイトでオファーをもらうために方針を定めていった」と話す。
宮崎さんの希望は「勤務場所は近畿地方が希望。そして、大手よりは地域のビルダーに行きたい気持ちがあった。それに、若いスタッフが多くて、個人に裁量を持たせてくれそうな会社」。そこで出会ったのが楓工務店、現在のアイニコグループだ。同社が業界の課題改善に注力していることと、宮崎さんの業界や社会課題の解決に貢献したい気持ちが見事にマッチングし、2023年4月に同社に入社した。
組織風土に惹かれて入社
同社の採用活動は5段階。宮崎さんの時は、1次から3次選考までがグループワーク中心で、2次選考と3次選考の間には2週間の社内見学期間があった。宮崎さんはこの期間で「職場の雰囲気がわかり、自分が働く姿も想像できた」という。4次選考の前(3.5次)に事業部のトップとオンライン面接をし、4次選考で社長と面接。5次選考では仮内定の学生を集めて、サプライズ歓迎会があったそうだ。
宮崎さんは選考が進む中、社長の田尻忠義さんから聞いた言葉が深く印象に残っているという。「『新規事業を立ち上げるから人を採りたい』という話があった。『中途半端に働く人は難しい』ともハッキリ伝えられたが、裁量権がある会社で働きたい私にとっては魅力的だった」。また、宮崎さんの所属する企画管理部は社長直轄の部門でもある。「入社前、社長に1日同行して、実際に社長直下で働きたいかを判断できた」ことが入社のひとつのきっかけにもなった。
また、同社の長所を「良好な人間関係」と答える。「部署の隔たりがなく、積極的・協力的で、ベンチャー気質のような雰囲気が心地良い。また、トップダウンではなく、社員の意見が反映されて会社がつくられている」ことがいいところだと説明する。自身の仕事内容と求められている役割に対しては・・・
この記事は新建ハウジング8月20日号5面(2024年8月20日発行)に掲載しています。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。