村木建築工房の鈴木光さん(現場管理・設計)と小林竜大さん(大工)は、2人とも入社4年目の22歳。高校時代はクラスメートで、卒業後も職種は違えど同じ職場で家づくりに励む、かけがえのない「同期」の仲間同士だ。社長の村木幹直さんも、2人の成長を日々暖かく、時には厳しく見守っている。
中学時代から建築の世界に興味を持っていた2人は、静岡県立浜松工業高校の建築科に入学し、同じクラスに。鈴木さんは、部活動の外部講師として招かれていた村木さんの指導を受けていた。小林さんも、教員の紹介で村木さんに出会っていた。
3年間の高校生活が終わりに近づき、進学や就職を考えなくてはならない時期が2人に訪れる。大手のゼネコンなどを就職先に選ぶ同級生も多い中、鈴木さんは「地元で就職することを考えていたし、木が好きだから住宅に関わりたいと思い」、村木建築工房の求人に応募した。
ただ、鈴木さんの母親は工務店に就職することにやや不安を感じていたようだ。それでも最終的には「あなたの人生だから」と決断を後押ししてくれた。
一方、父親が現場監督という小林さんは「父から大工になることを薦められた」ことが大きなきっかけになり、同社への就職を決めた。
施主の存在に戸惑い現場の大事さを知る
入社時は、鈴木さんは設計、小林さんは大工を志望していたが、入社から1年間は鈴木さんも大工の見習いとして働くことになった。初めての仕事は釘打ちだったそうだ。
小林さんは入社後、“施主”の存在に戸惑った。「大工が、こんなにお客様との距離が近く、お会いする機会も多い職業だとは考えたこともなかった」。しかし「仕事を褒められればうれしいし、成長にもつながっている気がする」と話す。鈴木さんも「知識も、できることも少なかったので、お客様と話すのは難しかった」と回想する。
2年目に入ると、小林さんは引き続き大工として腕を磨く一方、鈴木さんは現場管理の担当に。設計を志望していたのは「(建築の中で)一番かっこいい仕事」だと思っていたからだが、社会に出て、大工と現場管理を経験してみると「図面よりも現場が重要だ」との思いが強まったという。
それぞれの仕事で認められるように
自身も若いころ、大工として働きながら建築士の資格を取った村木さんは、若い社員に、技能士や建築士の資格を取るよう積極的に推奨している。鈴木さんは昨年、仕事の合間を縫って資格学校に通い、見事2級建築士を取得した。頑張りが認められたのか「大工さんや職人さんからも意見を求められることが増えた」という。
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この記事は新建ハウジング8月20日号4面(2024年8月20日発行)に掲載しています。
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