アグリトライ(長野県長野市)の岡田枝里香さんは大学時代、同社でのアルバイトを通して、工務店の家づくりや設計の魅力を知り、迷いなく就職先に同社を選んだ。2年目のいま、デザインも性能も、現場の施工も一切の妥協を許さないクリエイティブな集団の一員として日々、設計スキルを磨く。
自社の重要なプロジェクトでもある「コンセプトホーム」(規格住宅)の実施設計を担当した。昨年の入社後、これまで先輩たちの図面の一部を手伝ってきたが、1棟まるまる自分で描き切ったのは初めてだ。「大変だけど、うれしかった」と話す表情に充実感が漂う。分譲型のモデルハウスとして活用するコンセプトホームは、このほど上棟し、年内の完成を目指す。今後は、監督や大工など現場とのやり取りの窓口を担う。「経験を積み、スキルアップするチャンス。しっかり進めたい」と気持ちを引き締める。
こだわりが詰まった規格住宅
総2階・延べ床面積27坪のこのコンセプトホームの基本プランは、社内の設計、工務、広報・営業など各課のメンバーで構成するプロジェクトチームで話し合いながらまとめた。住宅価格の高騰が深刻化するなか、自社が手がけるデザイン、性能に優れる住宅を「価格を抑えて、より多くの人たちに届けたい」という思いから構想がスタート。ただ、一方で、「高い性能や無垢の木材の質感、自然豊かな信州の風景になじむ意匠は、規格住宅であっても絶対にゆずりたくない」とのこだわりも当初から全員で一致していた。
そんななかから生まれた、断熱等級6・耐震等級3(許容応力度計算)、開口部にはトリプルガラスの樹脂サッシ、外壁にスギ無垢板材、床には長野県産カラマツ材、建築と庭との融合という“アグリトライ標準”を満たす規格住宅が、顧客からどのように評価されるか―。設計担当者として「緊張もするけれど、楽しみでもあり、ワクワクします」(岡田さん)。
「先輩に近づきたい」成長誓う
入社から1年4カ月、日々の業務(設計)に向き合いながら、先輩たちの仕事ぶりや現場での取り組み、完成した住宅を見つめてきた。自社の強みや魅力を・・・
この記事は新建ハウジング8月20日号3面(2024年8月20日発行)に掲載しています。
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