厚生労働省はこのほど、長時間労働が疑われる事業場に対して行った労働基準監督署による指導結果について報告した。指導を行った事業場は2万6117事業場で、このうち違法な時間外労働があったのは1万1610事業場(44.5%)。指導を受けた事業が最も多かった業種は「商業」で、6053事業場(23.2%)。建設業は1819事業場(7.0%)だった。他に、賃金不払残業が1821事業場(7.0%)、健康障害防止措置の未実施が5848事業場(22.4%)あった。
違法な時間外労働があった1万1610事業場のうち、時間外・休日労働が月80時間以上の労働者があったのは5675事業場、月100時間以上は3417事業場、月150時間以上は737事業場、月200時間超は35事業場だった。
建設業の事例では、工事の施工管理を行う事業場(労働者約250人)で立入調査を実施。36協定で定めた上限時間や時間外・休日労働の上限時間(月100時間未満、複数月平均80時間以内)を超える時間外労働はなかったものの、勤怠管理システムの労働時間の記録と労働者のパソコンのログオン・オフの時間に差が見られ、最長で1日当たり2時間以上の差があった。
これに対して労働基準監督署は、労働時間を適正に把握するための具体的方策を検討・実施すること、過去にさかのぼって労働者に事実関係の聞き取りなどの実態調査を行うこと、調査結果に応じて追加で賃金の差額を支払うことなどを指導した。指導を受けて当該事業場では、割増賃金を含めた差額不足分の支払いを実施。勤怠システムの利用により正しく終業時間を記録するなどを全社員に周知している。
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