今年2月、株式会社コンベックスは株式会社アンドパッドとの資本業務提携を発表。現在、「Digima(デジマ)」と「ANDPAD(アンドパッド)」のシステム連携に向けた取り組みが進行中だ。ともに業界トップクラスのポジションを築いた2つのシステムがつながることで、住宅営業にどのようなメリットがもたらされるのか、コンベックス代表取締役・美里泰正さんに聞いた。 | 株式会社コンベックス 代表取締役 美里 泰正氏 |
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コンベックスが展開しているDigimaは、住宅・不動産業界向けに特化したマーケティングオートメーションツールだ。メール、SMS、LINE、IP電話などを組み合わせたマルチチャネルでの来店・来場・面談に至るまでのマーケティング活動の可視化、自動化を実現する機能がある。
一方、ANDPADはクラウド型建設プロジェクト管理サービスだ。施工管理から受発注管理、粗利管理などに対応し、工務店業務の一元管理を目指す。美里さんが提携にあたって重視したのも「情報の一元管理」という点にある。
「いま工務店や住宅会社が利益を上げようとしていくなら、ただ商品の品質が高いだけでは足りない。営業から設計、施工、アフターサービスまでの業務全体における生産性を把握して、業務の流れを最適化していく必要がある。そのためにも、お施主様に関わるデータを一気通貫で管理するべき。今回の提携を通じてそうした仕組みを進めていく」(美里さん)。
会う前から関係を築いて成約率を高める仕組み
Digimaの強みは、見込み客の問い合わせから成約に至るまでのDXにある。いま、一般のユーザーは、工務店や住宅会社に相談に行く前にウェブを通して、様々な情報を入手して、検討を重ねている。資料請求や問い合わせの段階ですでに「予選」が始まっているのだ。
いまのユーザーは一斉送信の一方的な情報発信では興味を惹かれない。Digimaは入力されたお客様の情報を解析して、その内容に寄り添った形で自動フォローの連絡を入れることができる。顧客のニーズに合わせた情報を素早く提供できるので来場につながりやすい。システムに顧客データが蓄積されるので、中長期にわたって漏れなく追客を続けることも可能だ。オンライン上で手厚く寄り添い、対面する前からお客様との関係を築いていくことで、社員の方の負担を増やさずに成果を上げられるというわけだ。
Digimaで集めたデータをそのままANDPADに連携できるようになれば、入り口となる集客の反響データが定量的に網羅されているので、業務の効率化はさらに高まる。「発信した媒体ごとの集客率、媒体ごとにかけているコスト、営業担当者ごとの生産性など様々な角度から業務効率が数値化できるので、集客→受注の流れのなかでどこに手を打てばいいのかがわかる」(美里さん)。
従来であれば部署ごとに収集、整理していたデータが、ひとつにまとまることで、会社全体に情報を共有しやすくなる。課題が明確になり、社員それぞれの意識も高まっていく。
「情報を一元管理することで経営改善の課題が可視化できる。会社を最適化することで、住まい手となるお客様にも質の高い価値あるサービスができるようになる」(美里さん)。
DigimaとANDPADによる情報の一元管理は、人口減、人手不足など厳しい状況にある住宅業界にとって意義のあるものになりそうだ。
漏れなく時期を逃さないアフターフォローが受注のカギ
DigimaとANDPADの連携で得られるメリットがもう1点ある。アフターサービスを通じたリノベーション受注の向上だ。
ANDPADでは、新築当時の見積書や図面、仕様、顧客とのやりとりなどが蓄積されている。そのデータをDigimaで引き継ぐことで、顧客ごとにフィットしたメンテナンスやリフォームのプランを具体的に提案することができる。
従来の住宅業界では、引き渡し後は、盆と正月にはがきを送り、「何かあったらご連絡ください」という「待ち」の姿勢をとるのが一般的だった。しかし、接点が少なくなるにつれ、顧客との関係は薄れ、リフォームや建て替えなどの際には他社に流れてしまうという例も少なくない。
かといって、あてもなくお客様のもとをぐるぐると定期訪問を続けるというのも効率が悪い。十分な人手もなく、次の新築案件に追われるうちにフォローが手薄になるという経験をした読者も少なくないだろう。
「お客様ごとに建てた時期も家の内容も異なる。ANDPADに蓄積されたデータをもとに、可能性があるお客様をシステムで絞って、連絡を入れたほうが効率的。外壁なのか屋根なのか、その対象も明確にした提案なら、お客様のほうでも“ちゃんと見てくれている”と満足度も上がるはず」(美里さん)。
顧客ごとに連絡をとりやすいツールも異なる。Digimaなら、メール、SMS、LINE、IP電話すべてに対応しているので、自動的にアフターサービスの連絡を漏れなく確実に実行できる。OB顧客の数が大きくなってきた2代目、3代目の工務店には特に重宝する機能だろう。建てた会社なら新築当時の情報もあるし、お客様のことも理解しているはず。そんな会社がメンテナンス、リフォームをした方が顧客のためにもなるはずだ。
「家づくりに思い入れがあって、いい家をつくっているはずなのに、いまひとつ業績が伸びない。そんな悩みを持っている方にはぜひ導入を検討してほしい」と美里さん。DXに着手することで自社のやるべきことが整理され、方向性も見定めやすくなる。先行きの見えにくい時代だからこそ、自社の軸は明確にしておきたいものだ。上げて行きたい。
(sponsored by 株式会社コンベックス)
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