近年、増加傾向にある大規模自然災害。そして環境問題に対応しながら快適な暮らしを実現するため、住宅を改修する意義は高まっている。LIXILでは、築年数が経過した住宅のリフォーム・リノベーション(以下リノベ)を重要視し、住宅性能を向上させる製品ラインアップの拡充と提案手法の強化に努める。同社のサッシ・ドア事業部では、先進的窓リノベ2024事業などを追い風に、既存住宅の断熱・省エネ化を推進する。
―近年はリフォーム・リノベ用の製品・サービスを積極的に打ち出している。その背景は。
延島:まず、弊社の企業姿勢として、窓としての強さと快適性を届けたい思いがある。近年では、大規模な台風も頻繁に発生しているが、例えば30年前に設置した窓だと耐風圧・水密において、“現在”の窓と比較すると性能等級の基準が1~2ランク低く、住まい手は台風の度に不安を感じているのではないか。また当時の窓と比べて、シングル(単板)ガラスからペア(複層)ガラスへ変化したことで、断熱性・省エネ性などの住宅性能も向上している。せっかく改修するなら、耐風圧や水密といった窓としての強さと、断熱性・省エネ性といった快適さを追求した窓に換えて、暮らしのアップデートを図っていただきたい。そのために必要なツール、ベネフィットを随時提供していくつもりだ。
柳通:窓や玄関ドアのリフォームは、困り事の解決以上に、現代の生活に必要な基準を満たすための重要なステップだ。当社は、新しい時代のニーズに応えるために、幅広い製品と先進のソリューションを提供している。現在の生活水準に合わせて、当たり前の性能を担保した窓やドアを浸透させていきたい。
西原:昔からリフォーム商品として需要が高い玄関ドアは、家の第一印象を決める建具として評価が高く、成長し続けているアイテムだ。弊社のドアは、スマートフォンやリモコンなどで玄関の施錠・解錠を行える「FamiLock(ファミロック)」を搭載したことで、防犯性・利便性が向上している。また、デザイン性の高いドア本体やハンドルのバリエーションを揃えているため、施主からの評価も上々だ。最新技術で不安も解消しつつ、住み心地も向上できる。
断熱性向上の観点で言えば、住宅の熱の5~7割は開口部から出入りしている。一般的には、開口部=窓のイメージだが、窓もドアも含めた開口部としてリフォームする意味がある。
窓本来の魅力も担保して性能向上
便利機能のドアオプションで単価も向上
―リフォーム・リノベ用の窓製品は何か。また扱うメリットは。
延島:カバー工法で施工できる、取替窓「リプラス」のブリッジ枠とTWタイプがおすすめだ。近年の職人不足も相まって、工期が長いと事業者の負担になりかねないが、カバー工法は短い工期で、かつ室内側から施工できることが強み。一方で、現状の窓よりもガラスの面積が小さくなるため、窓から見える景観を損ねてしまう、冬場の日射取得量が減少するなどのデメリットがあった。
最近発売したブリッジ枠とTWタイプは、製品の特長でもあるスリムなフレームにより、窓のガラス面積が大きくなる。熱伝導率が低い樹脂を挟んだサーマルブレイク構造を搭載したことで、従来品と比べて断熱性を向上させながら採光性・意匠性も担保し、窓本来の魅力である「景観の切り抜き」を意識した快適な暮らしを実現できる。
この2つの商品はどちらも先進的窓リノベ2024事業の補助金対象となっており、TWタイプならブリッジ枠の1ランク上の断熱性能が実現できる。
柳通:リフォーム・リノベは、壁をはつって新築の窓を使用してもらう選択肢に加えて、予算が限られている場合はカバー工法で改修し、コストを抑えた分、他の提案が現実的なものにできる。さらに手軽な内窓の「インプラス」は、フレームの帯電を防ぐダストバリア機能により、静電気由来の埃の吸着を防ぎ、手入れの手間も効率化できる。
既存のサッシに新しいサッシをかぶせ窓をリフォームするカバー工法 | 『サーマルブレイク構造』を搭載し、スリムフレームを実現したリプラスTWタイプ |
西原:リフォーム用ドア「リシェント」シリーズの高断熱仕様が今の一押しだ。今年の大きな変化として、先進的窓リノベ2024事業の補助対象に玄関ドアや勝手口も加わったことで、高断熱仕様の商品を提案しやすくなった。またFamiLockに加えて、オプションの「テンキー付屋外リーダー・ワイヤレス屋内ボタン」を採用できることはリシェントの強み。自動施錠機能は便利ではあるものの、鍵を持ち忘れた場合に閉め出されてしまうことが課題だったが、テンキーがあれば万が一の時も解錠できるため、防犯性・機能性を十分に生かしながら、安心安全に利用できる。
リフォームは「困りごとの改善」が主目的で、今の生活からは想像しにくい「便利」機能は能動的に選択されない場合もあるが、FamiLockを採用した方からは、工務店からの推奨で付けたという話も聞く。プロからの提案で良さに気付いてくれる方も多い。補助金を使うことで、今ならお得に採用できるため、より快適な暮らしの実現と単価向上にもつなげるため、ぜひ提案いただきたい。
補助金を簡易算出し効率化
情報を集約し、売る力を補助
―玄関ドアは、窓の改修と同じ契約でなければ補助の対象にならない。そもそも工事費全額を、一度は施主に負担してもらう必要もあるため、提案時の説明も重要になる。工務店が提案しやすい、活用しやすいツールはあるか。
西原:事業者向けに運用していた情報提供アプリ「L-ポケット」上で、おすすめプランなどを打ち出しながら訴求していく。当社の調査によれば、過去5年以内に窓リフォームを実施した層の約6割が、ドアリフォームを実施もしくは検討していることがわかった。そういった意味では、窓リフォームに加えてドアも提案できる切り口になるし、その逆の提案もあるだろう。
延島:Aグレード・Sグレードの窓を使った場合の補助額がいくらになるのか、具体的な数字が分からないという意見も聞くため、弊社では1分で簡単にチェックできる「省エネ・補助金シミュレーション」を用意した。
住んでいるエリア、住まいのタイプ(戸建て・マンション)、窓リフォームの箇所・数などを入力すると、ノータイムでシミュレーション結果が算出される。窓の参考価格と補助金額が一目で分かる仕様で、冷暖房費を含む削減効果も明示できる。事前に施主に紹介しておけば、施主も見積もりの総額が把握できて不安が解消されるし、工務店も見積もりの打ち合わせが時間短縮されるだろう。
柳通:「L-ポケット」は、LIXILリフォームショップ・LIXILリフォームネット加盟店・登録店専用アプリだったが、2024年5月、だれでも利用できる「L-ポケット Lite版」をリリースした。商品の問い合わせ・ショールーム予約・補助金ナビなど15種類のコンテンツを利用できる。リフォーム・リノベに関する商品とあらゆるサポートの強化を継続し、工務店・建材メーカー一体で、市場を盛り上げて行きたい。
(sponsored by LIXIL)
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