国土交通省は7月22日、2024年度の「空き家対策モデル事業」に応募があった162件の提案の中から、50件のモデル的な取り組みを採択した。今回、ソフト提案部門とハード提案部門で提案を募集したが、ハード部門(提案1件)での採択はなかった。
ソフト提案部門のテーマ①「空き家に関する相談対応の充実や空き家の発生抑制に資する官民連携体制の構築」では14件を採択。
福井コンピュータアーキテクト(福井県あわら市)では、空き家の流通促進の仕組みづくりとして、一気通貫型のパッケージを提案した。リノベーションによる空き家利活用促進を目的に、市内の空き家情報をまとめたWebサイト「空き家メタバンク」を拡張し、空き家所有者向けの相談コンサル体制やDXツールの活用により、空き家の登録促進や現況調査の効率化を図る。他にも、生成AIやAI分析を活用した空き家の相談・診断サービスなどの提案者が高い評価を得た。
テーマ②「空き家等に関連するスタートアップなど新たなビジネスモデルの構築」では12件を採択。
ストックリノベーション研究会(長野県長野市)は空き家活用の成果とエリア状況の変化を見える化した「データブック」の作成を提案している。大学や民間研究所と連携し、空き家対策での活用に向けて建築データ・経済データ・行動データ・イメージデータをGIS(地理情報システム)で重ね合わせるもので、不動産IDや「PLATEAU(プラトー)」などのデジタル施策との連携を目指す。他にも、相続制度に注目した提案者が高い評価を得た。
テーマ③「新たなライフスタイルや居住ニーズに対応した空き家の活用」では24件を採択。
(一社)AZEは深刻な過疎化に悩む農林エリアの空き家と無人駅の一体的活用事業モデルを提案。鉄道事業者と共同で集落内のエリア調査や収益化が可能なモデルプランの洗い出し、ワークショップの実施などを行う。他に、新たに学校を設立したい事業者や医療・福祉サービスを必要とする利用者とのマッチング事業の提案、若者向けシェアハウスによる地域活性化につながる提案などが高い評価を得た。
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