新建ハウジングは8月6〜7日、 “工務店力”を生かしリノベーション市場をつかみとるため、実務者や専門家が集い英知を結集させる『東京リノベサミット』(会場:東京ビッグサイト、西3ホール)を開催する。リノベ専門家のコダリノ研究所(横浜市)代表の稲葉元一朗さんの連載「現場で役立つ工務店リノベの勘所」から再編集してお届けする短期連載も最終回。今回は工務店以外の動向として、MUJI HOUSEと住友系列の取り組みを解剖する。
MUJI HOUSEの戦略
良品計画(東京都文京区)の関連会社であるMUJI HOUSE(同)は、MUJIリノベーションを展開している。2015年に「MUJI INFILL0」を発売。当時からMUJIならではの世界観を前提にマンションのフルスケルトンリノベに限定し、性能向上を訴求、温熱シミュレーションにより、性能を可視化することを重視している。
今年は、「INFILL 0 ZEH」を発売し、さらにZEH水準のリノベーションを提供。競合の多くがデザインのバリエーションや商品ラインアップなど空間テイストに偏りがちな方向性である中、一貫して性能向上リノベを訴求してきた点が大きな特徴だ。耐震に関しては、会社の方針として新耐震基準を満たした物件に絞ることで、安全性への姿勢を伝えている。
性能へのこだわりは単に標準仕様であるということだけでなく、WEB、セミナー、パンフレット、リアル店舗での断面サンプルなど、全ての顧客接点で貫かれている点もポイントの一つだ。
同社には「MUJI×UR団地リノベーション」というプロジェクトがある。国のアンケート調査で「高齢者が多い」「空き家が多い」「生活利便性(の問題)」など団地に対する懸念点が上位を占める中、「リノベーション+MUJIのファン」へと市場の境界を引き直すことにより、新たな需要を創出したという点、リノベが含有する社会的意義においても示唆に富んだ取り組みだといえる。
住友系列の戦略
住友林業ホームテック(東京都千代田区)は・・・
この記事は新建ハウジング7月30日号7面(2024年7月30日発行)に掲載しています。
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