木材など質量のある自然素材をベースにしたシンプルな構造の躯体で断熱・調湿といった機能を賄いながら、快適な住環境を実現するエコロジーな建築思想・設計手法の普及を目指すのが「KANSO(カンソ)」プロジェクトだ。同プロジェクトを主宰するもるくす建築社(秋田県大仙市)社長の佐藤欣裕さん、ドイツ在住の森林環境コンサルタントの池田憲昭さんは7月9日、北海道砂川市でセッションを開いた。
「KANSO」は2020年にスタート。佐藤さんと池田さん、スイス人の建築家のシェア・サシャさんの3者が運営している。「少ない方が豊か」。そんな思想のもと、木や土、石、植物、動物性素材といった古くから使われている伝統的な自然のマテリアルで地域産のものを使用する。加工、流通、施工の過程において、「グレーエネルギー」ができる限り少ないこと、使用後にリサイクルや再利用ができることにこだわっている。
基本的に南向きに開口し、大きな質量を有する自然のマテリアルの躯体でつくる。開口部から入る太陽の熱放射エネルギーを数日間「蓄熱」し、室内の温度変化を少なく抑えるといった効果がある。高い吸熱・放熱作用を持ち、冬は暖かく、夏は涼しい環境を実現する。
1棟目として2020年12月、もるくす建築社が秋田県大仙市にKANSO仕様の事務所棟を建築している。
室温は一定じゃなくてもいい 温熱環境のあり方で問題提起
7月9日のセッションでは、室内環境のあり方について・・・
この記事は新建ハウジング7月30日号2面(2024年7月30日発行)に掲載しています。
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