国土交通省は7月23日、YKK AP(東京都千代田区)が2007年まで製造・販売した特定防火設備(片開き戸)の一部に、国土交通大臣認定仕様への不適合があった件について、当該製品の大臣認定を取消し、改修の実施を速やかに行うよう指示を行った。同件は、同社が申請仕様と異なる試験体を用いて遮炎性能試験を受け、国土交通大臣認定を受けていたもので、2023年4月に原因究明調査を行うよう指示がされていた。
認定取消しを受けたのは、「ペーパーハニカムコア充てん網入板ガラス入鋼製片開き戸」(大臣認定番号:EA-0259、認定日:2008年4月24日)で、1996年4月から2007年12月にかけて住宅など117棟(扉数:981セット)に設置。都道府県別の内訳は「東京都」27棟、「大阪府」「福岡県」「長崎県」に各8棟などとなっている。
不適合解消の性能試験で7つの不正
同社の報告によると、大臣認定不適合を解消するために2008年に実施した遮炎性能試験で、申請仕様と異なる試験体を採用。さらにガラスをおさえる骨材の曲げ角度をガラスが脱落しにくいように変更するなど、7項目に及ぶ不正を行っていたという。
同省は今後の対応として、所有者などへの対応や社内の組織体制の見直し、コンプライアンス確保の徹底などを同社に要請。これに対して同社は、▽一般顧客用および建築・設計関係者用相談窓口の設置(※設置済み)▽商品開発・生産プロセスにおけるチェック体制・仕組みの再点検と強化▽複数部門による試験体の確認▽管理者向けの防火管理教育eラーニングの実施▽文書管理規程・保存期間の見直し―などを行うと公表した。また、一連の不正事案については、「再発防止策を速やかに実行することで不正の防止を改めて徹底し、信頼の回復に全力で取り組む」とコメントしている。
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