全国建設業協会(全建)が7月16日に公表した「生産性向上の取り組みに関するアンケートの調査」結果によると、BIM/CIM活用工事の受注実績があると答えた会員企業は、「発注者指定型工事を受注」では7.0%、「受注者希望型工事を受注」では11.3%にとどまり、BIM/CIM活用工事の受注が進んでいない状況が明らかとなった。さらに、発注者・設計者・施工者間での3次元データの連携がうまくいかず、生産性向上を実感できない様子が垣間見られる結果となっている。
国土交通省では2023年4月から直轄の業務・工事でBIM/CIMの適用を原則としている。ただし、設計の前段階で3次元モデルを作成していない場合は活用しなくても良いほか、受注者希望型工事では受注者がBIM/CIMの活用を希望しない場合には3次元モデルなどの成果の納品はしなくても良いこととなっている。なお、BIM/CIM活用工事の実施工種の多くは「土工」と「構造物」で、建築物(新築・改修)は一部に限られている。
アンケート結果のうちBIM(建築分野)の活用状況を詳しくみてみると、「既に活用実績がある」(4.2%)と「今後活用したい(準備を進めている)」(16.2%)は全体の2割程度。その一方で「活用する予定なし」(47.6%※土木主体の企業を含む)と「聞いたことはあるが内容不知」(15.6%)の合計は6割を超えている。
BIM活用用途「合意形成」が最多
このうち、「既に活用実績がある」または「今後活用したい」と回答した企業にどのような活用を行った(行いたい)かを尋ねたところ(※複数回答可)、「発注者や施工関係者間の合意形成」が最多で51.8%。次いで「納まり・干渉の検討」(48.9%)、「施工図作成」(47.5%)、「施工計画への活用」(44.3%)などの回答が得られた。
BIM活用の具体的な利点としては、▽発注者への施工提案、協議資料として効果的▽3次元データによる可視化で施工計画、施工ステップなどの理解度が向上し施工性・安全性がアップした▽経験の少ない若手社員、下請業者、発注者、近隣住民への説明などに活用できる▽合意形成、数量算出で有効▽構造物の鉄筋干渉や既設との取り合いなどの見える化により、現場での手戻りが減った―などの意見が寄せられた。
一方で、良くなかった(悪かった)ことについては、▽ハードウェア・ソフトウェアのコストが高額▽施工で使う場合に協力業者が対応しきれず、結局2次元での管理となる▽既存の社員で実施することが現時点で難しい▽複数のBIMソフトがあり、互換性がないものもある▽発注段階での3次元化を望む―などの声があった。
“ある程度効率的”だがコスト高との声
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