中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)は7月23日、第4回小委員会を開き、2024年度の最低賃金引き上げの目安額について大詰めの協議を行う。現在の最低賃金は、前年度に過去最大の43円増(全国加重平均)を実現し時給1004円。物価高を背景に労働者側は前年度以上の賃金改定を求めているが、使用者側は中小企業の経営が圧迫されることを懸念しており、1050円をにらんだ攻防となる見通し。
小委で目安額をまとめた上で、審議会で決定する。8月には目安額を参考に都道府県ごとに実際の引き上げ幅を確定し、10月以降に適用される。
審議会で参考にされる消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)の上昇率は、6月時点で3.3%と高止まりが続く。24年春闘の賃上げ率は最終的に平均5.1%に達したが、労働者側は労働組合のない小規模・零細企業にまで「賃上げの流れを波及すべきだ」と訴える。
労働者側はさらに、地方の最低賃金が低いことで、都市部に人口が流出しているとも指摘する。現在は39道県が1000円を下回っており、今後2年で全都道府県を1000円に到達させる目標を提示している。
一方、使用者側は賃金改定の必要性に理解を示しつつも、近年の上昇ペースは急速で企業の価格転嫁が十分に追い付いていないとして、大幅な賃上げには慎重な姿勢を示す。日本商工会議所が2月に公表した調査によると、現在の最低賃金が負担だと答えた企業の割合は65.7%と、前年度から10.6ポイントも上昇した。
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