公正取引委員会と中小企業庁は7月22日、下請法の改正を検討する有識者会議(座長・神田秀樹東大名誉教授)の初会合を開いた。中小・零細企業を中心に、適正な価格転嫁がしやすい取引環境を整え、賃上げを後押しする。高騰が続く原材料費の転嫁について受注企業と協議せず、一方的に価格を据え置く「買いたたき」行為の規制の在り方などを検討する。
下請法の改正は約20年ぶり。優越的な立場を利用した発注企業による代金の減額や、価格の据え置きといった不当な商習慣を見直す。コストの上昇が続く中、円滑な価格転嫁を促し、賃金と物価が共に上昇する好循環の実現を目指す。
会議では、同法での「下請け」という用語について、発注側と受注側の企業の関係が対等ではないとの指摘を踏まえ、適切な表現に見直すことも議論する。
運送業務の委託を巡り、下請法の規制対象に「荷主」を加えるかについても検討。トラック運転手の不足で物流が停滞する「2024年問題」の解消につなげる。このほか、約束手形による支払いで受注企業が手数料などを負担する慣行の是正も論点に挙げた。
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