記録的な猛暑日が続く中、三和建設(大阪市淀川区)は作業員の熱中症対策として、今年も「かき氷ステーション」を設置した。「かき氷ステーション」は約10年前、出勤前にコンビニエンスストアで氷を買う職人たちの様子に当時の現場所長が気づき、「製氷機を現場に設置したらみんなの負担が軽くなり、喜ばれるのは?」と、製氷機の導入を決定したのが始まり。やがて「製氷機があるなら、かき氷もできるのでは?」とかき氷機も設置するになった。作業員たちにも好評で、かき氷ステーションは同社の夏の風物詩となっている。
災害級の猛暑の中、日本救急医学会は、熱中症の重症度を従来の3段階から4段階へ改定することを発表。重症の中でもさらに注意が必要な「最重症」を新たに設けた。これは熱中症患者の増加と重症化を受け、より適切な医療体制の構築を図るための措置だ。
「かき氷は涼をとるだけでなく、『アイススラリー』の効果も期待できる」と認定産業医の松島勇介医師。「アイススラリーとは、細かい氷の粒子が液体に分散した飲料で、通常の氷よりも結晶が小さく、流動性が高いことから、体の内部を効率よく短時間で冷却できると言われている。近年、運動前に一時的に深部体温を下げる『プレクーリング』という概念が提唱され、その方法としてアイススラリーが活用されている」と、作業現場に「かき氷ステーション」を置く効果について解説している。
同社は、かき氷ステーション以外にも、塩分補給ゼリーの企画・販売やファン付き作業服の貸与をはじめ、全作業員へ熱中症対策ウォッチを無償貸与するなど多角的な熱中症対策を実施。現場で働く職人が安全かつ快適に、そして前向きな気持ちで作業に取り組めるよう、環境改善に取り組んでいる。
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