弁護士・秋野卓生さんが、工務店が知っておくべき法律知識を毎月20日号で解説する本連載。今回も6月に引き続き資金繰りをテーマに、不安を感じたとき取るべき行動を解説します。
住宅会社の資金繰り悪化リスク
工務店の多くは、新型コロナ禍における手厚い資金繰り支援で事業を継続してきたものの、物価高騰、深刻な人手不足など、厳しい状況にあります。2024年4月にゼロゼロ融資の民間返済がピークを迎え、資金繰りが一段と厳しくなる企業が増えると見られるため、今後も企業倒産件数は増加する可能性があります。
今から13年前のリーマンショック直後も、毎月のように当事務所の依頼者である住宅会社が破綻していきました。この破綻に対して私は、民事再生法を駆使して、何とか仕掛かり物件の全棟完成を果たしていきました。
全国を駆け巡り、スポンサー企業を探し、見つけてきて、倒産法の弁護士たちに「スポンサーまで連れてくる弁護士」と高い評価をいただきました(ですが、こっちは必死で探し、お願いしていたのが現実です)。
コロナ禍では、ゼロゼロ融資や巣ごもり需要などにより住宅会社の破綻事例は少なかったのですが、昨今の建材価格高騰による住宅会社の利益率の低下、住宅販売価格の上昇が消費者の購買意欲に冷や水を浴びせ、実質賃金が伸び悩むなか、住宅ローン金利にも先高観が出はじめている状況において、いよいよ住宅会社の資金繰りを心配しなければならない状況であろうと思っています・・・
この記事は新建ハウジング7月20日号12面(2024年7月20日発行)に掲載しています。
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