戸建て住宅の性能向上が進む一方、特に中小規模の賃貸住宅は断熱・省エネと縁遠いまま。ただ集合住宅ならではの設計や計算方法に戸惑う人も多いはず。高性能賃貸研究会が6月27日に開催した「賃貸の高性能化に向けた断熱・省エネ性能の計算レクチャー」から、賃貸集合住宅で目指すべき水準や仕様について前真之・東京大学大学院准教授、夢・建築工房社長の岸野浩太さん、お2人の話をダイジェストで紹介する。
「やるなら断熱も省エネも最高等級を」
前真之さん[東京大学大学院 准教授]
賃貸住宅の質が低いのは、ステークホルダーの利害が対立しやすいことが原因だ。しかし高性能賃貸は、住まい手が健康・快適に、電気代の不安もなく暮らせてオーナーも安心して投資・回収でき、つくり手も事業を確保できる。地域の全ての人が幸せになれる可能性が十分にある。
今年4月から省エネ性能ラベル制度が始まった。これからは“高性能賃貸”を名乗るなら断熱も省エネ性も最高等級を達成すべき。意外と知られていないが、共同住宅は2022年11月にUA値の評価方法が変更(界壁・界床の熱損失をないものとして計算する)され、従前の断熱等級4が新評価では等級5になってしまう。
また、照明も(住まい手の)持ち込みだとすると・・・
この記事は新建ハウジング7月20日号6面(2024年7月20日発行)に掲載しています。
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