国土交通省は7月9日、2024年度「優良木造建築物等整備推進事業」の採択結果を発表した。4月の募集期間中、18件の応募があり17件を採択した。
「優良木造建築物等整備推進事業」は、先導的な木造建築設計・施工技術が導入されるプロジェクト(先導枠)や、炭素貯蔵効果により中大規模木造建築物の普及に寄与するプロジェクト(普及枠)を支援するもの。▽主要構造部に木材を一定以上使用すること▽木造建築物の普及啓発に関する取組がなされること▽ZEH・ZEB水準に適合すること▽再造林または再利用に資する取組がなされること―などを要件としている。
今回、先導枠で採択されたのは「(仮称)東京海上ビルディング新築工事」(東京海上日動火災保険会社)【図左】、「神田川美倉橋 都市型建替木化プロジェクト」(サンケイビル)【同右】の2件。
「(仮称)東京海上ビルディング新築工事」は、混構造(S・RC・木構造)による地上20階・地下3階建ての企業本社ビルで、事務所、集会場、店舗、診療所が入居を予定。下層階(1~5階)は鉄骨造、6~18階は木造・鉄骨造混構造で、木構造では3時間耐火実現のため、大断面柱材4本を束ねた仕上げ寸法2730×2730の超大断面柱を用いる。諸外国よりも基準の厳しい日本の耐火構造で同規模のビル建設が実現すれば国際的にも注目され、設計・施工技術の普及にもつながるとして期待されている。
「神田川美倉橋 都市型建替木化プロジェクト」は、混構造(S・木構造)による地上9階建てテナントオフィスビルの建替えプロジェクト。建物の中央コア部分を鉄骨造、建物鉄骨コア部分の両端南北1スパンを木造フレームで構成する構造で、鉄骨造との混構造の組み合わせを実現するために多様な接合部を提案している。防耐火では、木被覆鋼管柱(60分耐火)と木質ハイブリッド集成材梁(60分耐火)を使用。耐火被覆層の強化石膏ボード1枚当たりの厚みを高め、積層枚数を軽減させるほか、浸水や雨水による劣化対策として主木造部分を2階以上とすること、雨かかり部への木材使用を避けることなどの工夫も行っている。
採択された事業(全17件)は次の通り。
■関連記事
国交省、第1回「優良木造建築物整備事業」の公募を開始
国産材構造用集成材の時代が到来 最大手製材会社が量産工場建設
埼玉・いのうえ工務店、中大規模木造ブランドを開始
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。