中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)は7月10日に小委員会を開き、2024年度の最低賃金改定に向けた議論を本格化させた。現在の最低賃金は全国平均で時給1004円。労働者側の委員は「昨年以上の大幅な賃金改定をすべきだ」と、過去最大の43円増を実現した前年度を上回る引き上げを要求。今月下旬の取りまとめに向け、1050円をにらんで労使らの調整が進む見通しだ。
連合が先週発表した24年春闘の賃上げ率は最終的に平均5.10%と、33年ぶりの高水準に達したが、物価高は歴史的な賃上げを上回る水準。小委員会で労働者側は「物価高が続く中で最低賃金で働く人の生活は厳しさを増している」と訴えた。一方、経営者側の委員は「原材料費や労務費の増加を価格転嫁できない企業が相当数いることを考慮すべきだ」と、大幅な引き上げには慎重な姿勢を示した。
厚労省は小委員会に従業員30人未満の零細企業の賃上げデータを提示。最低賃金の議論で重視される数値の一つで、24年6月時点の平均時給は1488円だった。賃上げ率は2.3%と02年以降で最大の伸びを記録したが、労働組合を持つ大企業や中小企業の春闘結果とは大きな開きがあった。
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