北海道では1950年代から70年代にかけ、多数のコンクリートブロック造(以下CB造)住宅が建てられた。順工務店の社長・高見慎さんは、自社周辺に点在するCB造住宅の性能向上リノベーション・買取再販の事業化に取り組む。高見さんは「他社が避けがちなCB造のリノベーションはブルーオーシャン」として、地域ならではのストックを、新築減少時代の新たな経営基盤に位置付ける。【編集部 荒井隆大】
左:モデルハウス外観。CB造住宅の最大の特徴である三角屋根はそのまま 右:1階LDK。南面の掃き出し窓は位置・サイズともにそのままだが日射取得は十分 |
かつてはモダンな住宅として人気のあったCB造だが、近年では空き家も増え、解体される住宅も少なくない。高見さんがなじみ深いCB造の現状を見て「何とかできないか」と考えていた折、仲間の工務店によるRC造の外断熱改修事例を見学したことがきっかけで、CB造の性能向上リノベーションを思いつく。さっそく町内の団地に建っていたCB造住宅1戸を購入し、改修してモデルハウスにした。
在来工法の木造住宅と最も勝手が異なるのはやはり躯体。北方建築総合研究所(北総研)にも問い合わせたものの、調査研究が進んでおらず、過去に地震による倒壊等の事例がないことから、判断基準はクラックの有無程度にとどめている。木造の小屋組や柱も原則として手は加えない。ただし、布基礎は土間部分に鉄筋を入れてコンクリートを打ち補強した。
断熱では、蓄熱量の大きいコンクリートの特性を踏まえ、壁は湿式の外張り断熱工法で改修。壁のブロックに直接ロックウール160㎜厚を接着し、その上からメッシュを張って塗り壁で仕上げた。上部は小屋組の状態を考慮し、気密性を確保するために内側から発泡ウレタン150㎜厚を吹き付けた。
足元は床断熱で、大引き間にネオマフォーム100㎜厚を充填し、ネダレス合板24㎜厚の上にXPS30㎜厚を施工している。開口部は樹脂サッシ・Low-Eトリプルガラス(シャノン製)に交換している。
実は今でも通用する CB造のポテンシャル
木造ばかりをやってきた工務店にとって、一見ハードルが高そうに見えるCB造だが、高見さんはモデルハウスのリノベーションを通じてさまざまな良さを見つけた。例えば・・・
この記事は新建ハウジング7月10日号16面(2024年7月10日発行)に掲載しています。
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