松尾和也さん流エコハウス設計メソッドを毎月10日号でお届けする本連載。割高と言われている蓄電池ですが、本当に元が取れないのか、計算して確かめてみます。
つい先月まで「設置型の蓄電池は災害時の停電対策にはなるけれど、元を取るのは難しい」というのが市場価格から計算した上での判断でした。しかし、最近では施工費込みでもかなり安価な蓄電池が数社から販売が始まっており、その単価で計算を行うとほぼ確実に元が取れることに気が付きました。
原価回収年数を計算するにあたっては、基本は今の電気の実質単価を用いて計算します。実質単価は10大電力会社においても2024年6月現在において、29.7~42.0円/kWhまでばらつきがあります。平均は34.83円/kWhです[表1]。なお、長期の検討をする必要があるので現在支給されている1.8円/kWhの補助金はないものとして、月平均600kWを従量電灯契約で利用すると仮定した場合の単価です。
ここで資源エネルギー庁が発表している「家庭用電気料金月別単価の推移」を見てみます。これは全電力会社の平均を取っているとのことですが、2016年4月~22年12月までの8カ月の状況が描かれています。これには燃料費調整額も含まれています。これを分析すると驚くべきことがわかります。従量電灯契約での上昇率はこの期間において単利だと・・・
この記事は新建ハウジング7月10日号7面(2024年7月10日発行)に掲載しています。
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