帝国データバンク(東京都港区)は7月4日、「人手不足倒産の動向調査(2024年上半期)」の結果を発表した。上半期(1-6月)の人手不足倒産は182件と前年同期(110件)から大幅に増加し、2013年以降の最多件数を2期連続更新した。なお、全体の約8割にあたる143件が「従業員10人未満」の小規模事業者だった。
5月の労働力調査(厚生労働省)によると、就業者数は6766万人と22カ月連続で前年同月を上回り、人手不足が緩和傾向にある一方、転職等希望者が過去最多となるなど労働市場の流動化が加速。従業員数の少ない小規模事業者は退職者の影響が大きく、今後も人手不足を理由に事業継続を断念するケースが増加する可能性があるとしている。
業種別では、建設業が53件、物流業が27件とそれぞれ上半期の過去最多を更新した。4月から時間外労働に上限規制が適用されたことで労働力が不足する「2024年問題」が影響した。特に物流業では前年同期からほぼ倍増しており、バリューチェーン全体への影響も懸念される。すでに運送費の値上げやスケジュールの見直しなど、物流面の対応を行う企業は6割を超えている。帝国データバンクは、自社の人手不足だけでなく、関係するすべてのステークホルダーの状況把握に注意が必要だとしている。
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