兵恵建設の2代目、兵惠慎治さんが事業を承継したのは2021年。以来、「木の家づくり」を大切にしてきた先代の方針を踏まえながらも、現場管理から受発注、経理など業務全般のDXを推進し、高齢化の進む地域で工務店が成長していくための布石を打っている。
高齢化の進む地元で工務店を続けられなくなる
兵惠慎治さんが父から事業を継承したのは、2021年、35歳の時。そこで直面したのは、高校まで生まれ育った地元の現状だった。津山市は歴史ある城下町で、県北最大の都市だが、近年では住民の高齢化が顕著に。「津山市の2020年の総人口における65歳以上の割合は31.1%にもなる。2050年には10人に4人が高齢者となることが予想されている」(兵惠さん)。自社の社員の平均年齢も60歳代に到達し、このままでは、近い将来、事業が継続できなくなるという危機感に見舞われたという。
顧客データを共有して「どんぶり勘定」から脱却
そこで自身が社長となったときに導入を決めたのが、業務の一元管理システム「ANDPAD」だった。「それまでは、社員それぞれの経験や知識に頼って業務を進めている状態。私自身、接客から設計、現場管理、経営面までひとりで何役もこなさないといけない。業務を仕組みに落とし込んで、“個人商店”から“会社組織”へと変えていこうと思った」(兵惠さん)。
まずDXに着手したのはもっとも時間を割いていた現場管理だ。「ANDPAD施工管理」を導入することで、工程表や写真、図面などの資料、報告内容などをクラウド上で管理。工事関係者の間でデータを共有することで、意思疎通がスムーズになり、手戻りが減少。「それまでは、現地案内図や図面に関する問い合わせの電話に追われていた。でも、各自がスマホで確認できるようになったので、落ち着いて納まりを考えたり、打ち合わせに集中することができるようになった」(兵惠さん)。
さらに翌年には・・・
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