大建工業(大阪市)は7月3日、低圧メラミン化粧板を製造するカナダのPanolam Industries Ltd.(オンタリオ州ハンツビル)の株式51%を7月2日に取得し、子会社化したと発表した。残りの株式は伊藤忠商事の孫会社「ITOCHU Building Products Holdings Inc.」(米国)が取得。商号は「DAIKEN North America Ltd.」(DNAL社)、総投資額は今後の設備投資費用も含め100億円前後を想定している。
DNAL社では、建材や家具等に幅広く使われる低圧メラミン化粧板の製造・販売を継続する。生産能力は約700万㎡/年。北米での市場規模は年間1.2億㎡以上と推定され、底堅い需要が見込めるという。今回のグループ化により、取り扱う木質素材の拡充と新たな顧客を獲得し、事業規模の拡大を図る。また、普通合板市場規模が年間500万㎥の北米において、同社が開発を進める「新規木質ボード」の事業化に向けた検討を行っていく。新規木質ボードは合板代替としての性能を有し、木材の地産地消を想定した環境配慮型製品で、昨年、プロトタイプの製造技術を確立した。
DNAL社の運営は、北米で建材関連事業を展開するITOCHU Building Products Holdings Inc.のハンズオン経営のノウハウを生かし、効率的な運営と事業基盤の強化を図る。今後は、2026年度中の新規木質ボードの生産開始を目標に、低圧メラミン化粧板も含めた北米事業計画の策定や、各素材の事業性および最適な生産バランスの調整等を進めていく。
国内の新築住宅市場の縮小が見込まれるなか、同社は海外市場を重点市場と位置づけ、伊藤忠商事と連携し事業を拡大。世界最大の木造住宅マーケットの北米エリアでは、木質素材への安定した需要が見込めることからMDF(中密度繊維板)の販売を展開してきた。2019年にはカナダの単板工場や米国の単板積層材工場を子会社化し、北米進出を本格化。今回、Panolam Industries Ltd.のグループ化によって北米事業の強化を図るとともに、新規木質ボードの事業化に向けて検証を進めるとしている。
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