連合が7月3日発表した2024年春闘の最終集計結果によると、基本給を底上げするベースアップ(ベア)に定期昇給を合わせた賃上げ率の加重平均は5.10%(月額1万5281円)となり、前年を1.52ポイント(同4721円)上回った。歴史的な物価高や人手不足を背景に、5.66%だった1991年以来、33年ぶりの高水準を記録した。
組合員数が300人未満の中小組合は4.45%(月額1万1358円)と5%台には届かず、前年より全体との差も広がった。特に99人以下の組合では3.98%(同9626円)にとどまった。記者会見した連合の仁平章総合政策推進局長は「中小も健闘したが、価格転嫁の取り組みを強化しないといけない。来年に向け、5%台の賃上げができる環境を整えることが大事だ」と述べた。
5459組合が賃上げを要求。製造業を中心に妥結した組合の57.4%がベアを獲得した。賃上げ率は、業種別では製造業が5.58%(月額1万6952円)とけん引し、情報・出版が5.20%(同1万2492円)、商業流通が5.15%(同1万5036円)と続いた。交通運輸は価格転嫁が進まなかったことから、3.31%(同9227円)と他業種に比べ伸びを欠いた。
24年春闘では大手企業を中心に満額回答が相次ぎ、組合側の要求を超える回答も目立った。デフレからの完全脱却を目指す政府も「物価上昇を上回る賃上げ」を掲げ、労使交渉を後押しした。
ただ、物価変動の影響を除いた実質賃金は依然前年同月比でマイナスが続き、急速な円安進行も物価高に拍車を掛けている。賃上げの流れを持続させるには、価格転嫁に加え、中小・小規模事業者の取引環境の改善など息の長い取り組みが求められそうだ。
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