日本商工会議所(日商)が6月28日公表した「商工会議所LOBO(早期景気観測)2024年6月調査」結果(PDF)によると、全産業の業況DIは-16.2で前月より4.8ポイント悪化した。全業種で業況DIが1.0ポイント以上悪化したのは、2022年9月以来。中でも建設業や卸売業で働き方改革関連法による輸送費・労務費の上昇、需要の取りこぼしが見られた。
建設業は、住宅関連を中心に民間工事で受注低迷が継続。技術者など専門人材の不足に加え、働き方改革関連法に伴う時間外労働の上限規制により、深刻な人手不足に拍車がかかっている。業況DIは-18.7で、前月から2.2ポイントの悪化となった。
先行き見通しDI(7~9月)は、価格転嫁の遅れや人手不足による労務費・輸送費の上昇、電気代などの光熱費の高騰など、企業のコスト負担増加が予想され、全産業合計でほぼ横ばいの-16.0となる見通し。建設業は-16.9ポイントで、+2.5ポイント改善する見込みだが、依然厳しい状況が続く。
建設業の個別のDIは、「売上DI」は-13.5(前月比-5.4ポイント)、「採算DI」は-17.1(+0.9ポイント)、「仕入単価DI」は-71.6(+5.0ポイント)、「販売単価DI」は+31.5(+0.3ポイント)、「資金繰りDI」は-6.1(+2.3ポイント)となり、「売上DI」を除いてやや改善。「従業員DI」は+35.5(+2.5ポイント)で不足感が拡大した。
適切な人員など考えるきっかけにも
個別意見では、「時間外労働の上限規制により、工事の受注を見送るなどの影響が出てきている。一方、従業員の残業時間の管理や人員配置を考えるきっかけとなり、発注者に適切な工期設定を依頼できるようになった」(土木工事業)。「原材料の高騰が続く中、人材確保に向けて賃上げにも努めているが、業界全体が人手不足であり、恒常的に人手が足りない」(防水工事業)などの声があった。
ブロック別(全産業)では、すべてのブロックで「悪化」。関西では民間工事の受注減少に加え、人手不足や人件費の高騰で売上・採算が悪化。大阪府内の事業者から「大阪・関西万博の関連工事の追い込み需要に備え、現場の人繰りを調整していく必要がある」との声が上がっている。四国も民間の住宅工事の受注減と深刻な人手不足が重なり、売上・採算が悪化している。
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