富士経済(東京都中央区)は6月28日、住宅設備・建材の国内市場を調査した結果を「住宅設備・建材市場トレンドデータ便覧2024」にまとめ発表した。
これによると、2024年度の住宅設備・建材の市場は、4兆429億円を見込む。各社で価格改定が相次ぐなか、住宅設備で既築向け中・高級品の展開を強化していることに加え、エコキュートや住宅用太陽光発電システムなど省エネ性の高い高価格品の需要が高まり、市場は拡大するとみられる。建材は、規制強化や補助金制度により、断熱材、複合サッシの需要が引き続き伸びる。
2040年度は断熱材拡大も市場全体は縮小
2040年度は人口減少などで新築住宅の着工戸数が減少し、市場が3兆9804億円に縮小すると予測。需要別では新築向けが49.1%に減少、既築向けが50.9%に増加し、既築向けが半数を超えるとみられる。住宅設備は、単価アップやリフォーム需要の開拓などによって2030年度頃まで需要が拡大する見込み。建材は、新築向けの需要が高いことから2025年以降縮小に転じ、メーカーの非住宅事業への注力や海外市場参入への動きが顕著になると予想される。
断熱材は、前年度比4.1%増の2124億円の見込み。2025年度以降の省エネ基準適合の義務化に伴い、高性能製品への需要と一戸当たりの使用量が増えていることから、市場が拡大するとみられる。断熱等性能等級が5以上に引き上げられる2030年度以降は、新築着工戸数の減少で伸びの鈍化が予想され、既築向けの獲得が課題となる。断熱等性能等級6以上の展開を視野に、メーカー同士が協業する動きもみられる。2040年度は2023年度比26.1%増の2572億円と予測する。
水廻り関連機器では、エコキュートがカーボンニュートラル社会の実現に向けた政策などで、今後も堅調に推移すると予想。食器洗浄乾燥機も共働き世帯の時短ニーズなどにより緩やかに伸びるとみられる。システムキッチンとセットで導入されるビルトインコンロや食器洗浄乾燥機、浄水器、レンジフードは、新築着工戸数に影響を受けやすいものの、既築向けの交換や高級品の需要が高まっていることから市場拡大が予想され、2040年度は2023年度比8.0%増の7950億円と予測する。
同調査は、住宅設備15品目、建材14品目、計29品目を対象に実施した。
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