リクルートの調査研究機関、SUUMOリサーチセンター(東京都港区)は6月27日、「SUUMOトレンド発表会2024」を開催。今年のトレンドワードに、エコ観点に加え、健康に過ごすという観点からも「断熱性能」が新たな広がりを見せているとして、「断熱新時代」を挙げた。
「リクルート2023年注文住宅動向・トレンド調査」によると、注文住宅を建築する際に重視した条件として、「断熱性・気密性に優れていること」は年々増えており(下グラフ)、1位の「耐震性に優れていること」に次いで2位となっている。
SUUMOリサーチセンター研究員の笠松美香さんは、「社会課題解決のための省エネではなく、より生活者の関心事に近い“健康”“QOL向上”にも寄与することで注目が高まってきているのが「断熱性能」。 法改正や手厚い補助事業、多様な選択肢など「断熱」を実現する手段も整ってきている。2024年は「断熱新時代」に突入する元年とも言える」とコメント。
また、住宅の断熱性能を上げるメリットに、「冷暖房費を抑えられること」や「断熱性能の高い窓や建材で、結露やカビが発生しにくくなること」などに加え、これからの断熱で新たに着目すべきポイントとして、「健康寿命」「断熱の多様な選択肢」「学校や公共施設などへの広がり」「売却時も高評価となる査定システムへの挑戦」の4つを紹介。
生活の中心部分だけ断熱を行う「ゾーン断熱リノベ」や「部分断熱リノベ」といった断熱の選択肢が増え、学校では教室に断熱性能を高める改修をすれば、集中力欠如や体調不良の訴えが少なくなることが分かっており、NPOや地元工務店らのサポー ト、クラウドファンディングなどでもワークショップ形式の断熱改修DIYイベントが行われている。また、住宅の資産価値を高める効果として、鳥取県のように省エネ性能を中古住宅の査定額に上乗せする仕組みを導入する自治体の例もある。
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