国土交通省は6月24日、(一財)免震研究推進機構による「免震動的性能認証制度」を7月1日から開始することを明らかにした。同機構が実施する免震装置の性能確認試験は、実大免震試験機(E-Isolation)を用いて行う実大・動的試験。2022年度に「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」によって整備されたもので、世界トップクラスの精度を誇る。
「免震動的性能認証制度」では、①「動的性能認証」、②「個別動的性能認証」の2種類の認証を提供。①「動的性能認証」は、サンプル的に取り出した製品を試験体として試験を行うもので、免震装置の動的性能を3年に1回、定期的に認証する。小規模建築物から大規模建築物まで幅広く対応する。②「個別動的性能認証」は、免震装置の動的性能を個別のプロジェクトごとに認証するもの。建築物に実際に組み込まれた製品の一部を持ち込んで試験を行う。大規模建築物など高い信頼性が求められるプロジェクトにも対応できる。
特殊構造でクリアなデータ取得が可能に
従来型の試験機を使った性能確認試験では、縮小モデルを用いた動的試験と実大の動的試験を併せて実施することで、実大の動的性能を推定。これにより実際に建物を建てることなく実物大の免震部材を使った試験を行うことができた。しかし、加振台が振動する際に大きな摩擦と慣性力がかかることから、測定結果に大量のノイズが混入するという課題があり、分析時にはノイズを除去する必要があった。さらに実際の地震では、建物の揺れが地面方向にも影響を及ぼすことから、実験結果と実際の揺れが異なるケースもあったという。
同機構が導入した性能確認試験機では、反力梁を水平方向にだけに微動させることができる特殊構造を採用。摩擦と慣性力がかかりやすい加振台での計測は行わず、ノイズを極限まで抑えることで、情報を補正することなくリアルタイムにデータの取得や相互送信することを可能とした。これによりハイブリッド試験結果をリアルタイムに算出することでき、時間経過により大きく変化する状況下でのシミュレーションが可能となった。
同試験機では他に、物理的な試験とコンピュータによるモデリングを組み合わせた構造シミュレーションや、部材同士の接合部分を含めた動的加力実験など、これまで国内ではできなかった実験研究も行える。
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