国土交通省は6月21日、空き家などの流通促進を目的とした「不動産業による空き家対策推進プログラム」を策定して公表した。物件調査や価格査定、売買・賃貸の仲介など、空き家の発生から流通・利活用まで一括して行える不動産業がそのノウハウを発揮することで、“使える”空き家の放置を防ぎ、流通を促すことが狙い。流通に適した空き家・土地の掘り起こし、空き家流通のビジネス化支援を推進する。
流通に適した空き家の掘り起こしでは、他業への取次ぎなど総合的に所有者に助言する相談サービスを強化。窓口を広域化することで、空き家所在地から離れた場所に所有者が居住していても相談できる体制を整える。他に、空き家対策の担い手育成、地方公共団体との連携、官民一体となった情報発信なども行う。
空き家流通のビジネス化支援では、物件価格800万円以下の安価な空き家の売買や長期間におよぶ空き家の賃貸借での報酬上限額を見直した。売買取引の報酬額は物件価格に応じた料率を原則としているが、安価な空き家については媒介に要する費用を考慮し、30万円の1.1倍を上限とした報酬を可能とする。
長期間使用されていない空き家や、将来的に使用される見込みがない宅地建物については、報酬額の上限を1カ月分の2.2倍に見直した。ただし、これらの報酬額については媒介契約の締結時にあらかじめ依頼者に説明し、合意しておく必要がある。
コンサル報酬も別途受領可
他に、空き家のコンサルタントの検索サイトや、コンサル業務を支援する事例サイト、協議体の創設などにより、媒介業務に含まれないコンサルティング業務を促進。媒介報酬とは別にコンサル業務にかかる報酬を受けることができることを明確化した。「空き家管理受託のガイドライン」の策定や不動産DXの導入支援なども実施する。
不動産DXの導入支援では、不動産業者がIT重説や書面電子化に使える活用支援ツールを提供。これにより宅建業者のテレワークを可能とするほか、不動産取引に伴う各種手続のワンストップ化を進める。
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