国土交通省は6月21日、2023年度の「マンション総合調査」の結果を公表した。 マンション管理の実態を把握するため、管理組合や区分所有者を対象に5年に1度実施しているもので、前回調査と比べ、世帯主は70歳以上の割合が増加する一方、40歳代以下の割合が減少するなど、居住者の高齢化の進展がうかがわれた。
調査は昨年10月から今年3月に、全国の4270管理組合(回収率37.2%)と、区分所有者8540人(同36.3%)を対象に実施した。
世帯主の年齢を見ると、60歳代が27.8%と最も多く、次いで50歳代23.7%、70歳代21.7%、40歳代15.7%の順。前回調査と比較すると、30歳以下は0.9%減少した一方、70歳以上は3.7%増加している。
居住者の永住意識に関しては、「永住するつもり」が60.4%を占めた。前回調査との比較では「永住するつもり」は62.8%から60.4%に減少し、「いずれは住み替えるつもり」は17.1%から17.7%に増加した。また、年齢が高くなるほど永住意識が高くなる傾向にあった。
管理状況のうち、長期修繕計画に関しては、計画を作成している管理組合の割合は88.4%で、前回調査(90.9%)より減少。計画期間は「30年以上」が72.7%と最も多く、次いで「25~29年」が6.2%で、完成年次が新しくなるほど計画期間が長くなる傾向にあった。
月/戸当たり修繕積立金の総額の平均は1万3378円。積立状況に関して、現在の積立額が計画に比べて不足しているマンションが36.6%で、不足がある割合が20%超のマンションが11.7%だった。
改修工事について、省エネ改修工事を実施したことが「ある」が27.9%、バリアフリー改修工事を実施したことが「ある」が19.5%。
耐震診断・耐震改修については、旧耐震基準に基づき建設されたマンションのうち耐震診断を行ったマンションは31.6%で、そのうち「耐震性があると判断された」割合は17.1%。「耐震性がないと判断された」マンションのうち、耐震改修を「実施した」割合は45.8%、「今後実施する予定」が29.2%、「実施予定なし」が25.0%となっている。
管理に関して取り組むべき課題としては、「修繕積立金の積立金額の見直し」が36.2%と最も多く、次いで「長期修繕計画の作成又は見直し」が33.0%と続いた。また、管理組合運営における将来への不安としては、「区分所有者の高齢化」が57.6%と最も多く、次いで「居住者の高齢化」46.1%、「修繕積立金の不足」39.6%が挙がった。
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