池田住建企画(長野県須坂市)の池田安信さんは、家づくりと経営のレベルアップを目指し、学びを深めるために今日も全力で突っ走る。全国の工務店の仲間や住宅業界の専門家のもとを文字通り東奔西走。そんな日々の先に、学び続けることが結果的に経営を安定化させ、仲間同士が協働することで新たな領域と可能性を切り開く、小さな工務店ならではの1つの形が見えてきた。【編集部 関卓実】
「すべてはサトウ工務店の佐藤高志さんとの出会いから始まった」と池田さんは振り返る。コロナ禍の2021年、新築受注が年間ゼロに。「何とかしなければ」と悩んでいた池田さんが偶然、手にしたのが佐藤さんの著書「デザイナーズ工務店の木造住宅納まり図鑑」(エクスナレッジ)だった。厳しい状況とは裏腹に、「こんな家づくりがしたいな」というモチベーションが自然に沸き起こった。佐藤さんのFacebookをフォローしていると、「完成見学会開催、だれでもウェルカム」の告知が。
2022年1月9日の日曜日、長野から新潟まで車を飛ばし、見学会中の佐藤さんのもとを訪ねた。断熱の施工方法、仕上げ材や納まりのこと、今もその時に佐藤さんから教わったことはメモ書きをデータ化して大切に保存している。「見ず知らずの初対面の同業者に対し、惜しげもなく事細かにすべてをオープンに話してくれる」ことに衝撃と感動を覚えた。
住学は“バケモノ”だらけ
「住学においでよ。単純に楽しいし、自分なんかよりすごい人がたくさんいる」。そんな佐藤さんの言葉に誘われ、池田さんは、佐藤さんが発起人の1人として立ち上げた、新潟県内の建築・住宅業界の関係者らでつくる学びのコミュニティ・住学の活動に参加するように。「確かに住学は“バケモノ”だらけだった」と池田さんは笑う。デザイン・性能、経営スタイル、顧客との関係性に新しい分野への挑戦など、「とにかくいろいろなことを、ぶっ飛んだレベルでやり切っている人(工務店)たち」を、池田さんリスペクトを込めてバケモノと呼ぶ。
池田さんは住学の活動で「刺激を受けまくった」。刺激を受け、チャレンジしたくなったら、佐藤さんをはじめ「だれでも何でも教えてくれる」のが住学イズムだ。住学メンバーの施工現場や完成した住宅を見て実地で学んだことも生かしながら、まずは・・・
この記事は新建ハウジング6月30日号16面(2024年6月30日発行)に掲載しています。
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