東京商工リサーチ(東京都千代田区)が行った企業のSDGsの取り組み状況についてのアンケート調査で、「SDGsの重要性を認識している」企業が7割に達することがわかった。調査は6月3日から10日にインターネットで実施。有効回答4963社を集計、分析した。具体的には、「SDGsの重要性を理解し、現在取り組んでいる」と回答した企業は40.8%で、「重要性を理解しており、現在取り組んでおらず今後取り組みたい」と回答した企業は29.2%だった。
SDGsに取り組む意義としては、「企業イメージの向上」をあげた企業が7割を占め、ブランディング戦略の一環として取り組む企業が多いことがわかった。
規模別では、SDGsに対して「現在取り組んでいる」と回答した企業は、大企業が64.0%(518社中、332社)に対し、中小企業は38.1%(4445社中、1697社)で、25.9ポイントの差があった。大企業ほどSDGsへの取り組みは積極的で、経営資源や業績の差が影響しているとみられる。
建設業も7割近くが積極的な取り組み
SDGsに「取り組んでいる」との回答が最も高かったのは、産業別では金融・保険業の62.2%(45社中、28社)だった。次いで農・林・漁・鉱業の47.3%(38社中、18社)。金融や保険業ではSDGs債の発行などがあり、企業イメージのアップが影響しているようだ。一方、「取り組む予定はない」との回答が最も高かったのは情報通信業で25.9%(277社中、72社)で、次に不動産業の25.4%(114社中、29社)だった。
建設業では、「取り組んでいる」と回答したのは40%(685社中、274社)で、「今後も取り組みたい」の29%(199社)と合わせると、7割近くの企業が積極的であることがわかった。不動産業は、「取り組んでいる」と回答したのは34.2%(114社中、39社)で、「今後も取り組みたい」の31.5%(36社)と合わせると、65%以上が取り組みに前向きな姿勢を示した。
取り組む意義は「企業イメージの向上」
SDGsの17目標のうち、現在力を入れている、または力を入れようとしている項目で最も多かったのは「働きがいも経済成長も」で54.0%(3457社中、1867社)だった。次いで、「つくる責任、つかう責任」が42.6%(1474社)、「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」が38.8%(1344社)と続く。上位には、企業活動との親和性が高い項目が並んだ。
SDGsに取り組む意義として最も多かった回答は、「企業イメージの向上」の71.9%(3331社中、2398社)だった。次いで、「従業員のモチベーションの向上」が51.7%(1724社)となった。
規模別では、「採用活動におけるプラスの効果」を意義として取り上げたのが大企業の39.6%(431社中、171社)に対し、中小企業は26.3%(2900社中、765社)にとどまった。「SDGsの取り組みのアピールで、企業イメージを向上させて人材確保につなげたい意図も見える」と同調査は分析する。
一方、意義として「補助金や助成金の採択増加」と回答したのは、大企業が4.1%(18社)、中小企業が11.0%(320社)で、中小企業が大企業を上回った。中小企業は金融面の支援への期待が強いと見られる。
SDGsに取り組む予定がないと回答した企業に、その理由について質問したところ、969社から回答を得た。最多は「取り組むための人材がいない」の47.4%(460社)。「売上拡大につながらない」44.5%(432社)、「取り組むための知見がない」39.7%(385社)と続いた。
政府は2023年12月19日、SDGs実施指針を4年ぶりに改訂、2030年までにSDGsの達成を目指す方向性に変化はないとしている。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。