建設産業専門団体連合会(建専連)は、2023年度の委託事業として実施した「働き方改革における週休二日制、専門工事業の適正な評価に関する調査結果報告書」(PDF)の中で、インボイス制度(免税事業者との取引)についての調査結果を報告している。
免税事業者との取引の方針について、一人親方以外の場合は「免税事業者のまま取引を続ける」(38.4%)、「課税事業者へ転換してもらい取引を続ける」(33.9%)などの回答が多数を占めた。「取引をやめる」は3.0%だった。一人親方の場合は、「免税事業者のまま取引を続ける」の割合がさらに高くなり44.7%に。次いで「課税事業者へ転換してもらい取引を続ける」(24.2%)が多かった。「取引をやめる」は2.6%にとどまっている。この結果から、一人親方が免税事業者を続けることに対し、発注側が一定の配慮を行っている様子がうかがえる。
また、免税事業者と取引する場合の価格設定については、「従来通りの価格で取引する」が65.8%で最も多く、次いで「消費税相当額を値引いた価格で取引」(31.2%)の順となった。なお、発注者が下請事業者と価格交渉を行うことなく、免税事業者であることを理由に消費税相当額の一部または全額を支払わない行為は、下請法で禁止される「下請代金の減額」に該当するため注意が必要となる。
取引する免税事業者「1割以下」が最多
自社がどの事業者区分に該当するかについては、「本則課税事業者」(95.6%)、「簡易課税事業者」(3.3%)、「免税事業者」(2.1%・10人)となり、ほぼ課税事業者だった。免税事業者が多かったのは、階層別では「1次下請」(6人)、規模別では「社員数10~29人」(7人)、業種別では「とび・土工工事業」(4人)などだった。
一方、取引事業者のうち免税事業者が占める割合は、多い順に「1割以下」(36.7%)、「取引を行っている免税事業者はいない」(26.9%)、「8割以上」(13.7%)、「2~4割程度」(12.9%)となっている。「8割以上」の回答が多かったのは「鉄筋工事業」の16.8%(24人)。「大工工事業」は16.9%(11人)だった。
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